氷見で公費解体開始 対象900件超、5月本格化

撤去工事が始まった倒壊建物=氷見市姿

  ●姿地区、第1号は市道ふさぐ倉庫

 能登半島地震で大きな被害が出た氷見市姿地区で倒壊建物を公費解体する工事が30日始まった。市内第1号となる。公費解体の対象となる建物はすでに900件を超えており、最終的に1千件を超える可能性が高い。公費解体の工事は5月に本格化する見通しで、市は2年間での完了を目指す。

 解体撤去工事が行われたのは倒壊した倉庫で、集落の市道をふさいでいた。住民生活に支障が出ていたため、市は工事を先行させた。姿では別の市道をふさぐ住宅と納屋についても速やかに撤去する。市は来月20日ごろに市内の公費解体の発注に向けた入札を行う。

 公費解体の対象となるのは半壊以上の住宅と、大被害の倉庫など非住家。罹(り)災証明発行は28日時点で、半壊以上が651件、大被害の非住家が272件を数える。申請は29日時点で207件で、さらに増えるのが確実である。

  ●申請期限を延長

 氷見市は公費解体の申請期限を12月27日まで延長した。当初は6月30日までだったが、市民からの要望を受けて変更した。

 半壊以上の建物は海沿い地域が目立つ。氷見市は液状化が見られる中心部の住宅街などでは複数物件をできるだけまとめて解体したい考え。公費解体は被災建物が行政が早期に解体することで、倒壊などによる二次災害を防ぐのが目的となる。

 姿集落の山本譲治区長は「市道が使えず、荷物を出すのにも住民が困っていた。ようやく工事が始まってほっとしている」と話した。

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