医療支援まだまだ必要 珠洲に派遣、高岡・金子さん 現地の医院振り返る

被災地での活動を振り返る金子さん=高岡市太田

 能登半島地震の医療支援のため、25~28日に珠洲市入りした医療法人社団明寿会(高岡市)の金子真弓看護部長(62)=同市=が取材に応じ、現地での活動を振り返った。発災から約3カ月立ってなお、進まない復旧と医療従事者の人手不足の現状を目の当たりにしたとし、金子さんは「被災者は支援の手が減っていくことに不安を感じていた。まだまだ支援が必要だ」と危機感をあらわにした。

  ●避難所から住民続々

 金子さんは県医師会JMAT(日本医師会災害医療チーム)の一員として、珠洲市正院町の小西医院に派遣された。金子さんによると、同医院では地震前、3人の看護師が勤めていたが、被災し勤務が困難に。ボランティアやJMAT派遣の看護師などで業務に当たっている。

 金子さんは現地で来院者の外来業務に当たった。派遣中、医院には市内の避難所から主に70~90代の住民がひっきりなしに訪れ、避難先の金沢や加賀市から診察に訪れる被災者もいたという。

  ●「被災者に相当なストレス」

 印象に残ったのは被災者が悩みをつまびらかに話してくれたこと。採血や血圧測定の際、来院者に話し掛けると「地震を怖がる孫に『珠洲に来たくない』と言われさみしい」「家のローンが終わったばっかやったのに」などとせきを切ったように思いを話してくれた。「相当ストレスを抱えていた。心のケアが必要と感じた」と振り返る。

 まちもがれき撤去が進まず「時間が止まったままで、涙が出た」と金子さん。「安心感を届ける意味でも支援の手を止めてはいけない」と力を込めた。

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