スズ交通営業終了 珠洲唯一のタクシー運行

  ●コロナで需要低迷、地震追い打ち

  ●バス事業者が承継に手挙げ

 珠洲市で唯一タクシーを運行するスズ交通は31日、営業を終了する。新型コロナウイルスの影響で需要が低迷していたところに、能登半島地震が追い打ちとなり、事業の継続を断念した。同社によると、バス事業者が事業承継に手を挙げており、譲渡に向けた交渉を進めている。

 同社では能登半島地震で建物が損壊したほか、タクシー6台のうち2台が津波で流されるなどした。2月に営業を再開したが、市民が市外に避難したり、送迎にタクシーを使う飲食店が店を閉じたりして利用が伸びず、2月下旬、従業員に営業を終えることを伝えた。スズ交通は運転手や事務員ら16人が勤務する。

 市総合病院を受診する際にタクシーを利用してきた同市飯田町の黒丸秀子さん(91)は「バスでも病院に行けるが、タクシーは時間の融通が利いたので残念だ」と肩を落とした。

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