[J1第5節]川崎 3-0 FC東京/3月30日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
192センチ・90キロ。
その体格だけでも魅力に映るが、何より光るのは川崎アカデミー育ちらしく、足もとの技術や、相手のゴールを常に目指し続ける攻撃的な“目”である。
2022年2月に高校生ながらプロ契約をかわし、川崎での実質3年目を迎えた19歳、高井幸大のプレーにはやはり大きな可能性が秘められている。
パリ五輪へ向けた最終予選を控えるU-23日本代表の強化試合から戻ってきた高井は、FC東京との多摩川クラシコで先発の座を奪い返すと、会場を沸かすプレーを見せた。
前半には最終ラインからボールを持ち運ぶと、寄せられてきた相手をいなしながら、後方からのもうひとりのDFをまた抜きでかわして周囲を驚かし、後半には、FW山田新のゴールにつながるフィードを左サイドの山内日向汰に通してみせた。
さらに守備ではFC東京の右ウイング・仲川輝人の快足に付いていく対応も披露。最終ラインを押し上げ、カウンターのケアやセカンドボールの回収も含め、評価を再び高めたと言えるだろう。
一方で、2番を継承した今季は富士フイルムスーパーカップでは昨季のJ1MVP&得点王の大迫勇也を抑える活躍を見せたかと思えば、2節の磐田戦では失点につながるプレー。
伸び盛りの19歳とあって、パフォーマンスの波に課題を残すが、小さくまとまって欲しくないポテンシャルは鬼木達監督らコーチングスタッフらも認めるところである。
最終ラインからゲームを作ることができ、高さとスピードを生かしたディフェンスも提供できる。飄々とした性格で掴みどころはないが、川崎のサッカーをより面白くする存在であることに間違いはない。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)