配当生活を狙うなら!知っておきたい連続増配銘柄と累進配当銘柄

新NISAを活用するなど、株式投資によって資産形成に取り組む方が増えているなかで、配当を狙って長期投資をする方も多くいるようです。

今回は配当狙いの投資であればぜひ押さえておきたい「連続増配」と「累進配当」について紹介し、どのような銘柄があるのかもお伝えしていきます。


連続増配銘柄の3つの優位性

まずは連続増配についてです。連続増配とは、銘柄が一定期間(通常は数年以上)にわたって配当を増やし続けていることです。日本でも株主還元、増配が昨今より意識されるようになってきたように感じます。連続増配している銘柄に投資することには以下のような優位性があります。

(1)安定した収益
連続増配ができるということは、その企業は安定した業績を維持しており、安定した収益を上げていることが多いです。すなわち、連続増配の銘柄に投資することで、投資家は安定した配当収入を得ることが期待できます。

(2)安定した成長性と定性面の強み
連続増配は、企業が持続的な成長を遂げていることを示す重要な指標です。増配している期間にもよりますが、コロナショックなど全体相場の暴落の際にも配当を増やし続けるためには、ブランド力や財務健全性などの定性面の強みを持っている企業であると考えられますし、企業は持続的な収益成長や利益の改善を続ける必要があります。

(3)株価のサポート:
連続増配の企業は、しばしば株価のサポートとなります。増配が発表されると、投資家からの評価が高まり、株価の上昇要因となることがあります。また連続増配の銘柄は、一定の安定感があります。そのため、投資家はリスクを管理しやすく、不安定な市場環境においても比較的安定した収益を期待することができます。

では日本の増配ランキングを見てみましょう。

日本の増配ランキング

【1位】花王(4452)
2024年2月7日に2024年12月期の配当の増配を発表。35期増配見通しとなっています。また2024年12月期の業績予想は前期比で増収増益です。紙おむつや生理用品をはじめ、「めぐりズム」「クイックルワイパー」「ビオレ ふくだけコットン」など誰もが知る商品の販売元であり、短期的な商品開発研究のみならず将来を見据えた基盤技術研究にも取り組むことでグローバルに活躍してきました。加えてコンシューマープロダクツ事業のみならすケミカル事業も展開することで差別化やコスト削減、相乗効果を産んでいます。

【2位】SPK(7466)
26期連続増配、グローバルに展開する自動車補修部品や産業車輌部品の専門商社です。業績も堅調。

【3位】三菱HCキャピタル(8593)
25期連続増配かつ高利回りでリース・レンタルをコアに、環境関連サービスや不動産関連サービスなども展開している大手総合リース会社。

以上の上位3位は立派な増配記録ですが、実は米国株の増配の長さと比べると日本はまだまだこれから。米国株の増配年数の長い銘柄もご紹介しましょう。

米国増配銘柄

◆アメリカン・ステイツ・ウォーター(AWR)
なんと連続増配年数69年!1929年創業の老舗で水道と電力を手がけている公益企業です。2014年のカリフォルニア州の水不足危機の際にも供給を続けた会社として有名です。水道事業では子会社を通じて、カリフォルニア北部、沿岸部、および南部の 80 を超えるコミュニティ内にある約 26万4,100の顧客に水道サービスを提供。電力事業も手がけており、電力会社では子会社を通じて、カリフォルニア州を中心に約 2万4,800 の顧客に配電。契約サービス事業では全国の 12の軍事基地にある配水、廃水収集、および処理施設の運用、保守、および建設管理サービスを提供しています。

ほかにも60年超増配の企業が多数ありますので一部をご紹介します。

◆プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
世界最大級の一般消費財を提供する企業です。日本ではP&G(ピーアンドジー)と呼ばれて親しまれていますね。代表的な銘柄で、パンテーンなどのヘアケア用品、SK-IIなどスキンケア用品、洗濯用洗剤のアリエール、台所用洗剤のJOY、ジレットのひげそり、ブラウンの歯ブラシ、ファブリーズ、パンパース紙おむつなど幅広い製品を世界中で販売しています。

◆ドーバー(DOV)
多角的な工業製品メーカーで、エネルギー、通信技術、業務用冷蔵、印刷・識別など幅広く事業を展開し、様々な製品やサービスを世界中に提供しています。

◆ノースウェスト・ナチュラル・ホールディング(NWN)
160 年以上にわたりビジネスをおこなうアメリカのガス会社。1859 年にオレゴン州ポートランドでスタートし、現在はオレゴン州とワシントン州など太平洋岸北西部の 200万人にサービスを提供。天然ガス配給事業とガス機器の設置、点検サービスを提供するほか、5 つの州で配水と廃水サービスを提供する水道事業、脱炭素化に役立つ再生可能天然ガス事業もおこなっています。インフラを押さえていることで景気後退の時でも底堅いビジネスが見込めるでしょう。

◆パーカー・ハニフィン(PH)
自動車・エネルギー・製紙などで使われる油圧機器やフィルター、配管継手、ホースなどグローバルに多様な事業を展開する企業となっていて、日本にも進出しています。部品に強みのある企業で、航空宇宙に関連する事業も展開しています。

ほかにもスリーエムやジョンソン・エンド・ジョンソン、コカコーラ、ロウズ・カンパニーズなど、日本でも有名な企業も60年連続して増配をしています。

続いて、累進配当についてもお伝えします。

累進配当って?

累進配当は配当金を減配をせずに配当水準をキープ、または利益成長に合わせて増配し続ける事を指します。長い間配当を減らしていない企業ということですね。そうなると連続増配銘柄と同様、安定したビジネスをしていたり、安定して業績を成長させている企業が多いということが大まかに言えると思います。また株主還元に対しても積極的な企業が多いと言えるのではないでしょうか。足元で日本では累進配当を実施する企業が増加しており、ニュースでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

累進配当を実施している企業をチェックするには?

ではどのような企業が累進配当を実施しているのか、簡単に累進配当の銘柄を調べられる指数があります。日経新聞社は「日経累進高配当株指数」というものを出していて、累進配当を10年以上続ける企業から予想配当利回りが高い順に30銘柄を選出している指数となります。

累進配当を続ける年数の長い銘柄としては、1番長いのは武田薬品工業(4502)の41年超。2番目が三菱HCキャピタル(8593)で30年超。住友精化(4008)とLIXIL(5938)が20年を超える累進配当となっています。

日経累進高配当株指数の愛称は「しっかりインカム」となっていますが、しっかりしたインカムをねらうなら、日経累進高配当株指数の組入れ銘柄を検討するのも良い投資の選択肢となるかもしれません。

また実績ベースの増配を原則10年以上続ける銘柄のうち、連続増配の年数上位から70銘柄を上限に採用した日経連続増配株指数というものもありますので、その組入れ銘柄も併せて調べてみてはいかがでしょうか。

ただし、連続増配や累進配当の銘柄に投資する際にもリスクが存在します。50年以上連続増配を続ける“配当王”と言われるような企業は、基本的には増配を続ける傾向にあると考えられますし、連続増配や累進配当を打ち出している企業は、出来る限りそれを続けようとするでしょう。とは言え、業績の悪化や経済状況の悪化など、企業の状況が悪化すれば配当の増加が続かない可能性は念頭に置く必要があると思います。したがって、投資を行う際には慎重な分析とリスク管理が必要です。

この記事が少しでも皆様の投資の参考になれば幸いです。最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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