【コラム・天風録】やっかいな黄砂

 春に三日の晴れなし、という言葉通り、先週は全国的に強い雨風など荒天が続いた。ようやくここ数日間は春らしい暖かな日が続いている。だが三日の晴れとはいっても、明るい空は白くかすみ、すっきりしない▲おととい今年初の黄砂が広島や山口などで観測された。先週、オレンジ色に染まる中国の都市の様子が伝えられていたが、大気に乗って飛来した。きょうまでは日本列島を覆うらしい。春に三日も黄砂あり、となった▲干した洗濯物を汚したり車に付着したり。目もかゆくなる。花粉症の人は一層つらかろう。「花粉爆発」という何やら物騒な言葉を耳にした。黄砂で運ばれてきた微細な大気汚染物質が、花粉表面を傷つけて破裂させる―。そう明らかにした研究がある▲小さくなった花粉の粒子が体内の奥深くへと侵入。炎症を起こし、ぜんそくを悪化させる恐れもあるという。季節の風物詩ともされてきた自然現象の黄砂。しかし現代においては、やっかいなことをもたらしてばかり▲黄砂でかすんだ空のように世の中には今、「先の見通せない」ことが多い。花見にでも出かけ、憂さ晴らしをしようか。もちろん黄砂や花粉にはマスクなどで対策をして。

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