新NISAだけが資産形成じゃない、保険をお金の置き所にするメリットとは?

保険を使っての資産形成は、低金利が続いている間は、ほとんど停滞していましたが、2023年秋頃から、予定利率の改定が行われ始めました。新NISAに注目が集まっていますが、保険をお金の置き所にするメリットも戻り始めています。どんな使い方があるのか、事例を挙げて説明します。


生命保険を資金の置き場所に

資産を増やすという意味では、投資信託を使ったNISAやiDeCoを超える保険はなかなかありません。ですが、生命保険だからこそ、資金の置き場所にする理由があります。

例えば、退職金を受取り、ある程度まとまったお金のある60歳の男性で考えてみます。死亡時500万円の保険金を保障する一時払終身保険に加入します。

保険料は4,277,200円、保険料は一括で支払い、一生涯500万円の死亡保険金を保障します。生命保険の死亡保険金には一定の相続税非課税枠があり、非課税限度額(500万円×法定相続人の数)までの金額は非課税として相続税がかかりません。預貯金で保有していると課税されてしまいますが、非課税枠を使えば、相続税軽減ができるのです。

当たり前の情報のように思うひとも多いかもしれませんが、国税庁の調査によると、相続税の課税対象となった被相続人のうち、約7割の人が、非課税枠を活用しきれていないのだそうです。

生命保険の死亡保険金は渡したいひとに名前を付けて確実に渡せる方法です。また、死亡保険金は請求手続きをすれば、一週間程度で受取りが可能なので、すぐに現金化できることもメリットです。予定利率が徐々に上がり始めているため、一時払で支払った場合、約4年から5年程で支払った保険料を上回る解約返戻金が受取れるようになっていますので、資金調達にも役立ちます。

ある程度まとまった資金がある場合は、預貯金ではなく保険を置き場所にするのは有効な手段といえるでしょう。

学資のために保険で積立て

子どもの学資のために積立てをする場合、児童手当を積立てに充てているひとを多く見かけます。学資保険という商品は利率のいい時代には人気がありましたが、現在保険商品としては人気がありません。NISAを使っているひとも増えています。

保険の利点を使って、終身保険を使った学資積立の例を紹介します。

30歳男性、第一子出産に伴い、学資のために終身保険260万円に加入しました。死亡した時に保険金260万円が支払われる保険。従来の学資保険のように遺族年金や子供の医療保障などは一切付帯されていない保険です。保険料は児童手当1万円を充てています。

払込期間は高校入学を控える頃を目指し15年間とします。積立をしている間は、解約返戻金が払込保険料より下回りますが、払込終了後は、払込保険料を上回るような仕組みです。

死亡に対する保障があるため、投資信託などを使っての資産形成に比べると、15年後の資産額は多いとはいえません。ですが、がんと診断確定、急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態になった時に、保険料の払込を免除する特則をつけることで、保険での積立の効果がでてきます。がんに罹患してしまった場合、積立を続けることが経済的に難しくなることもありますが、この特則があることで、保険をやめることなく、目標まで保険会社が積立を続けてくれます。保険ならではのメリットです。

介護資金の置き所にする

高齢化が進み、介護に備える必要性を感じながらも、介護にならないのでは?という希望的観測で、備えていないひとが大多数なのではないでしょうか。

令和2年の国勢調査報告によると、要介護1以上の認定を受けているひとは、65歳以上人口で約15%、80歳以上人口で約40%、85歳以上人口になると約50%近くになるそうです。データが示す通り、備えは必要といえます。

介護保険商品は以前に比べ多くなっていますが、大半は掛け捨てといわれる商品で、なるかならないかわからない介護に対して保険料を払うことに抵抗がある人が多いのも事実です。

そこで、介護のための資金を預貯金に置くのではなく、保険に置いておく介護保険を使う方法を紹介します。

60歳男性、要介護2以上の認定を受けた場合、生存している限り年金50万円を受取れる保険です。保険料は月25,800円。毎月払う保険料としては少し高い保険料ですが、80歳まで介護状態にならず、介護保険金を受取ることがなければ、80歳までに支払った保険料を一旦全額返すという仕組みです。80歳で戻ってくる金額は6,192,000円。保険にお金を積立てていたと考えると、そんなに高い保険料ではありません。

利息はつきませんが、その間所定の介護状態になったら毎年50万円の介護年金が受取れるわけですから、保険の部分が利息分だと思えばいいかもしれません。しかも、介護年金を受取るようになったら、保険料は不要になる払込免除が付いていますので、介護状態になった後の保険料支払いの不安もありません。

6,192,000円を受取った後も、保障が必要なら、ここから掛捨てにはなりますが、同じ保険料で一生涯続けられます。また、受取った金額を以降の介護準備金にして保険をやめるのも一つの選択です。

資金の使い道が明確な場合は、保険に資金を移しておくのも、ひとつの選択肢です。保険商品を活用する際は、相談する担当者に、いつ頃、どんな目的のためにお金を使いたいのかをはっきり伝え、合理的な商品を提案してもらいましょう。

限りある資金です。商品の特性を活かして、上手に活用しましょう。

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