県内は肥満傾向にある子どもの割合が5~17歳の全年齢で全国平均を上回ったことが、国の2022年度調査で明らかになった。大分っ子の「太り気味」は長年続いており、明確な理由は分かっていない。専門家は「肥満は糖尿病などにつながるリスクもある。食生活や運動機会の改善が必要」と提言している。
肥満傾向は身長別の標準体重から算出する。文部科学省の学校保健統計調査によると、最も割合が高かったのは10歳の14.95%(全国平均12.48%)。最も低かったのは5歳の4.52%(同3.64%)だった。いずれの年齢も全国平均より0.24~5.05ポイント高かった。
男女別で見ると、男子は15歳と17歳が都道府県別で全国2位、女子は14歳が4位だった。全国平均より低かったのは6歳女子、9歳男子、16歳女子のみだった。
県教委は「肥満の割合が高い要因を明確に分析できていない」と明かす。スポーツ庁が実施する全国体力テストの成績は大分県がトップクラスを維持しており、「体力と肥満の相関関係は分からない」(県教委体育保健課)という。
状況を改善しようと、県教委は23年度から、肥満傾向にある子どもを対象にした個別相談のモデル事業を始めた。栄養教諭らが食生活の見直しなどをアドバイスしている。同課は「ニーズを見極めながら事業の拡大を検討したい」と話す。
子どもの肥満に詳しい大分大医学部の井原健二教授(60)は「大分県は車中心の社会で、都市部に比べて歩く機会が少ないことも影響しているのではないか」とみる。北海道や東北地方も同様に肥満の割合が高いと指摘する。
「幼児期からの肥満は、糖尿病などの生活習慣病につながる可能性がある。学校のみで対応するのは難しく、家庭と一丸となって食生活の改善や運動習慣を身に付ける対策が欠かせない」と述べた。