「デフレ脱却道半ば」と経済政策を強調 総理

 岸田文雄総理は28日、24年度予算と税制法案成立を受けた記者会見を行い「デフレ脱却へ道半ば」などと経済政策を特に強調した。岸田総理は「デフレから抜け出すチャンスをつかみ取れるか、後戻りしてしまうか、これからの対応次第。豊かな日本を次世代に引き継げるか否か。我々は数十年に一度の正念場にある」と語り「これが経済の現状に対する私の基本認識」と述べた。

 岸田総理は「デフレから完全脱却する千載一遇の歴史的チャンスを手にしている。昨年を大きく上回る春闘での力強い賃上げの流れ、労使の賃上げへの取組みが大きく変わりつつある。史上最高水準の設備投資、攻めの姿勢の企業が増え、海外からも大型戦略投資が相次ぎ、史上最高値圏の株価、変革を高く評価する市場と新NISA(少額投資非課税制度)に乗り出す個人投資家が主役」と訴えた。

 しかし、実態は日銀から68兆円もが株式市場に流れ込み、日銀が株式上場企業72社については発行株式1割超の株を保有、さらに年金からも株式市場に大きく流れた結果、株価が経済実態を反映しないものになっている。極度な円安は企業の含み資産を膨張させ、資本家と大企業が潤うことに。一方で、労働者の賃金は物価上昇に追いつかず、実質賃金が前年比マイナスになっている。

 岸田総理は「6月からは1人4万円の所得税・住民税減税を行い、可処分所得を下支えする。官民が連携し物価高を上回って可処分所得が増える状況を確実につくる」。また物価を上回る賃金引上げを後押しするため(1)労務費の適切な価格転嫁へ下請法の運用基準の強化を含め執行を強化する(2)賃上げ促進税制については赤字企業も対象に中小企業全体の8割をカバーする「前例のない繰越控除措置が4月から動き出す」(3)中小企業向けに省力化投資、自動化投資の支援を集中的に実施する。リ・スキリングを通じた労働生産性の向上、シニア世代の技術や知見を無理なくいかす仕組みづくりなどに取組む、とした。(編集担当:森高龍二)

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