新型コロナが通常医療体制に 公費支援がきょう終了 治療薬3万円負担の場合も

県内新型コロナ、インフルエンザ報告数

 新型コロナウイルス感染症の患者や医療機関への公費支援が3月末で終わり、通常の医療体制に移行する。患者は季節性インフルエンザなどと同じように原則1~3割を窓口で負担することになり、治療薬によっては約3万円の自己負担が生じる。5類移行後の感染状況を振り返り、4月からの変更点をまとめた。
 5類になった昨年5月8日以降もこれまで同様、夏場と年末年始に感染が拡大。県内74の定点医療機関で把握している感染者数を基にした報告数は7月下旬に1地点平均30人を超えた。この時期、県内の感染者は1日当たり約1500人だったと推定される。
 ただ、移行前のように医療提供体制が危機的状況に陥ることはなかった。理由として▽多くの医療機関が感染が疑われる患者の発熱外来に対応した▽確保病床への入院を原則、酸素投与が必要な「中等症Ⅱ」以上に限定した▽福祉施設などで軽度の感染者に対する施設療養が定着してきた-などが考えられる。
 こうした状況を県は「通常の医療体制への準備ができた」と受け止め、受診・相談センターやコロナワクチンコールセンターなどを3月末で廃止する。
 県民の立場で大きく変わるのは、治療薬の自己負担増とワクチン接種の有料化だ。
 治療薬は医療費の窓口負担が3割の場合、これまでの上限額は9千円だった。だが4月以降は公費支援がなくなるため、3割負担で5日間処方の場合、ゾコーバは約1万6千円、ラゲブリオやパキロビッドは3万円近い自己負担が生じる。
 ワクチンは予防接種法上の特例臨時接種として生後6カ月以上を対象に全額公費負担だったが、4月からは同法上の定期接種として実施。65歳以上や重い基礎疾患がある60~64歳が補助対象で、一部が公費で賄われるものの、患者は7千円程度を負担しなければならなくなる。

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