LRT沿線で路駐、立ち入り、軌道侵入 マナー欠く撮影が日常化 運行や住民生活の妨げに

私有地への立ち入りなどが目立つため、簡易な侵入防止柵が設置された道路=21日午前7時40分、宇都宮市竹下町

 次世代型路面電車(LRT)宇都宮芳賀ライトレール線の沿線で、写真愛好家などによる迷惑行為が相次いでいる。男体山と列車の往来を一望できる宇都宮市内の住宅地では路上駐車や私有地への立ち入りが目立ち、同市中心部では軌道への侵入などの危険な行為が後を絶たない。住民や運行会社の宇都宮ライトレールは「ルールを守って撮影してほしい」と訴えている。

 宇都宮市竹下町の住宅地。付近の高架軌道をLRTが行き交い、軌道の奥には男体山がそびえる。雄大な風景と列車を同時に撮影できるため、昨夏の開業前から交流サイト(SNS)で注目され、空気が澄み始める昨年10月から路上駐車が目立つようになった。

 周辺に駐車場はなく、地元住民によると、平日でも撮影を目当てにした人の車が歩道などに4、5台止まり、民家敷地へ駐車するケースも。私有地に侵入して撮影場所を探し、民家軒下に座って列車が来るのを待つことがあるという。

 付近は通学路になっており、歩道への駐車で、小中学生が車道を通らざるを得ないことがあった。これを受け市は今年2月、私有地に立ち入らないよう簡易な侵入防止柵を設け、道路沿いに「路上駐車禁止」の張り紙をした。宇都宮東署はパトロールしている。

 近くに住む同所、主婦高田玲子(たかだれいこ)さん(41)は「節度ある撮影者がほとんどだが、1人が敷地に入るとそれに続く人が出る。ルールを守って撮影してほしい」と願うように話す。

 一方、宇都宮ライトレールによると、同市中心部の宇都宮駅東口停留場付近では、軌道を横切る歩道から軌道内に入って撮影する人が後を絶たない。他の停留場でも、柵などから身を乗り出す人を運転士が確認している。同社運輸安全課の中村隆行(なかむらたかゆき)課長代理は「スマートフォンなどの画面を注視すると距離感を失い、身を乗り出すことにつながる。危険行為があれば発車できず、運行に支障が出る」と指摘する。

 度が過ぎる危険行為は刑法に触れる可能性もある。中村課長代理は「安全な場所から撮影してほしい」と呼びかけている。

歩道沿いに掲示された張り紙=19日午前7時55分、宇都宮市竹下町

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