【鳥栖】敵地で首位町田に敗れるも、河原創は悲観せず「ここまですごく悪いゲームはほとんどない」

3月30日、サガン鳥栖はJ1第5節でFC町田ゼルビアと敵地で戦い、1-3で敗れた。

鳥栖は5分にロングスローの流れから先制を許したあと、34分にマルセロ・ヒアンの今季2点目で同点に追いつく。だが54分、57分と立て続けに失点。64分にヴィニシウス・アラウージョを投入し、シュートまで持ち込む場面が増えたものの、町田の分厚いブロックに幾度も阻まれて得点できず。今季4つ目の黒星を喫した。

川井健太監督が「町田さんの素晴らしさを褒めるべきところも多々あった。(現状のままでは)ダメですね」と語ったように、町田の狙い通りに試合を進められてしまったという側面もあるだろう。ただ、チームとしての狙いが見て取れたシーンはいくつかあった。

象徴的なのは同点弾の場面。GK朴一圭からボールを受けたMF河原創がフリーで持ち運ぶと、左サイドハーフの位置から中央寄りにポジションを取った菊地泰智に楔を打つ。反転して前を向いた菊地が背後を取ったM・ヒアンに浮き球のラストパスを送り、これを背番号99が落ち着いて枠に収めた。

自陣に相手を引きつけてからビルドアップで打開し、素早く攻め込む。これに加えて、今季からさらに強く意識づけられている背後への動きもあわさった見事な得点だった。

【動画】狙いどおりだったマルセロ・ヒアンの同点弾
得点シーンについて、起点となった河原が次にように話す。

「自分が泰智と『もう少し間を取ってほしい』だったり『背後にアクションをかけてから降りてきて』などと話しながらやっていたからこそ生まれたプレーなので、狙いが得点につながったのは良かったです」

課題は、チームとしてこういった場面をどれだけ増やせるか。M・ヒアンやV・アラウージョをはじめ、背後を狙えるストライカーを獲得しただけに、中盤のチャンスメイク数が増えれば、ゴールの可能性も膨らみそうだ。

河原も、チームの流れが変わる日はそう遠くないと感じているようだった。

「得点シーンのような状況をもう少しで作れそうというところを、ミスで終わってしまったりもしましたが、チームとしての狙いは悪くない。今季から背後を積極的に狙いながら戦えている点も、プラスに捉えています。

正直、ここまですごく悪いゲームはほとんどないと感じています。手応えはあるけど、結果がついてこない、という試合が続いている印象なんです。ひとつ結果が出ると変わるんじゃないかと」

鳥栖はここまで1勝4敗で19位と苦しんでいる。ただ、チームの心臓である河原は悲観せず、すでに次を見据えている。攻守でチームを牽引する25歳を中心に、ここからどんな巻き返しを図るのか。川井体制3年目のシーズンは、まだ始まったばかりだ。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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