「学歴社会なんて古い」と考える人、年代が上がるほど増える 50代男性「18歳時点での瞬間風速に意味はない」

ライボの調査機関「Job総研」が社会人男女629人を対象に実施したアンケートによると、学歴とキャリアの関係について「とても関係すると思う」「関係すると思う」が48.7%と半数近くにのぼった。

その理由について「社会的な信用やステータスが上がるから」が55.4%、「いまだ学歴で判断する企業が多いから」が48.7%、「最終学歴は希望する仕事に影響するから」が36.8%を占めている。

「出身大学を過剰に誇りにしている人は厄介」

学歴社会の必要性を聞くと、「とても必要だと思う」が8.2%。「必要だと思う」「どちらかというと必要だと思う」を加えると66.0%にものぼっている。

その理由は「業界/職種への適応力の判断材料になるから」が47.3%、「自分が学歴のためにがんばった経験があるから」が39.0%となっている。

学歴賛成派からは、次のような自由記述のコメントが寄せられている。

「学歴は取り組む姿勢や努力を客観的に判断できる材料になると思うので、学歴社会には賛成します」
「その人が若い時にどれだけ努力したか、苦労をしてきたかを測るバロメータの一つだと思う」
「特技やコミュニケーション力に自信がない人は、学歴をアピール要素にできるので有難いです」

一方で、不思議なことに、学歴社会への価値観について「とても古いと思う」と答えた人も10.5%おり、「古いと思う」「どちらかといえば古いと思う」を加えると59.5%にものぼる。

興味深いことに「古いと思う」と答えた人の割合は、年代が上がるほど高くなり、20代では「古い」と答えた人が56.4%だったのに対し、50代では63.5%を占めている。

都内企業で働く50代男性Aさんにこの結果について尋ねると、「そりゃ当然としか思えないよね」とあっさり答えた。

「学歴なんていうのは、18歳時点での瞬間風速みたいなもの。それを何十年も引っ張って人間の評価につなげることには、ほとんど意味がないのでは。大学の4年間より、その後の社会人生活の方がはるかに長いんだし。逆に出身大学をいつまでも自分のアイデンティティと結びつけて、過剰に誇りにしている人は厄介だよね」

大学名だけで「仕事で成果をあげられそう」なんて判断できない

学歴社会を肯定したい人が一定数いることについては、

「『いい会社に入るためにいい大学に入ろう』と努力してきた人は、学歴社会は必要と考えてしまうのだろう。でも、社会人生活を長く送っていれば、有名大学を出ているからといって仕事ができるとは限らない例をたくさん見るわけだから、調査結果のようになるのは当たり前だと思う」

アンケートで学歴社会の必要性の理由にあげられた「業界/職種への適応力の判断材料になる」という点についても「正直あまり関係ないのでは」と冷ややかだ。

「たしかに理系の仕事では、大学時代の専攻が関係する場合が少なくない。でも、重要なのは学科であって、大学名ではないですよね。大学の専攻と違う分野で働く理系の人も少なくないし、ましてや文系であれば大学名だけで適応力の判断材料にはならない。別な適性試験で判断すべき」

それでは、なぜ就職の書類選考では大学名でのフィルターが掛けられるのだろうか。

マネージャーとして採用面接にも関わるAさんは「応募者数が多いから学歴で足切りせざるをえないだけで、今後はフィルターも粗くなっていくだろう」と見る。

「働いているところを見てもいないのに、有名大学卒の人を『地頭がいい』と呼ぶ採用担当者がいるけど、あれは本当に不遜で見ていられない。採用経験を積めば、大学名だけで『この人は仕事で成果をあげられそう』なんて判断することは減ります。少子化の影響で応募者数が減っていけば、学歴関係なく一人ひとりの適性をていねいに見ていくことになるし、成長している会社はすでにそういう取り組みを行っていますよ」

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