健大高崎初のセンバツ制覇を支えた石垣の粘りと箱山の好打。敗れた報徳学園・今朝丸の好投にも注目【センバツの逸材たち/決勝】

健大高崎が報徳学園を破り、群馬県勢初の大会制覇を飾ったセンバツ最終日。決勝戦で見事なピッチングを見せたのが、両軍でともに背番号10を背負った石垣元気(健大高崎・2年)と今朝丸裕喜(報徳学園・3年)の2人だった。石垣は立ち上がりにいきなり2点を奪われたものの、2回以降は粘りの投球。6回無死二、三塁の大ピンチではギアを上げ、後続を見事に抑えて無失点で切り抜けると、7~8回も三者凡退と報徳学園に反撃を許さなかった。

昨年秋まではスピードはありながらも不用意に失点するケースが多かったが、この春は走者を背負ってから粘れるようになり、試合を作る能力が明らかにアップした印象を受ける。投手としてのスケールの大きさも申し分なく、順調にいけば来年のドラフト上位候補になる可能性は高いだろう。健大高崎では指を痛めた影響で1イニングの登板に終わったが佐藤龍月もしっかり試合を締めくくり、今後もこの2人の切磋琢磨の成長は、まだまだ続いていくことになりそうだ。

一方の今朝丸も初回に2点、3回に1点を奪われる苦しい立ち上がりだったが、4回以降はわずかヒット2本に抑えて3失点完投と意地を見せた。健大高崎打線が積極的に打ってきたこともあるが、8回を投げて1四球、球数はわずか85球というところに制球力の高さがよく表れている。8回にこの日最速となる149キロをマークするなど、スタミナ面の充実ぶりも目立った。
野手ではやはり健大高崎の箱山遥人を取り上げないわけにはいかないだろう。5試合連続打点はならなかったが、第1打席にはチャンスを広げるヒットを放ち、守備でもチームを鼓舞し続けた。高校No.1捕手という評価は揺るぎないものとなり、ドラフトでも注目を集めることは間違いないだろう。

大会を通して今朝丸、箱山以外ではモイセエフ・ニキータ(豊川)、正林輝大(神村学園)、境亮陽(大阪桐蔭)、福田修盛(阿南光)など外野手に好素材が多かった。今年は大学生にも外野手に有力選手が多く、秋までは外野手だった石見颯真(愛工大名電)、高山裕次郎(健大高崎)が内野に転向したというのも“市場”を考えてのことと考えられる。これから夏にかけて、彼らのうちの誰が世代をリードする存在になるかにもぜひ注目してもらいたい。

構成●THE DIGEST編集部

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