小祝さくらは「よくここまでこれた」 “209試合連続出場”で黄金世代初の国内10勝

5打差大逆転劇で10勝目(撮影/村上航)

◇国内女子◇ヤマハレディースオープン葛城 最終日(31日)◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡)◇6564yd(パー72)◇晴れ(観衆3544人)

ツアー有数の難コースで、5打差逆転優勝は「現実味がなかった」という。小祝さくらは、前日の強風下で「67」を出した竹田麗央を追いかけた。「りおちゃんが伸ばす。そうなると5打以上伸ばさないといけないけど、このコースで7アンダー(65)とかを出すにはかなりベストなゴルフをしないと」。トロフィーを掲げる自分は遥か遠く見えた。

6バーディ、1ボギーの「67」とチャージした(撮影/村上航)

最初に戦況を確認したのは、2つ伸ばして7アンダーで迎えた13番ティイングエリア。リーダーボードを見た。2組後ろの最終組で回る竹田との差は詰まっていた。「2打差とかで、まだここからバーディチャンスのホールがある」と奮い立った。

その13番でボギーを打ったが、めげない。14番で残り85ydを3mにつけてバウンスバックし、15番も約3mのチャンスを沈め、16番は約8mのロングパットを決めて、3連続バーディを奪取した。

17番でトップと並んでいることを確認すると、最終18番(パー5)で残り225ydから3Wで花道まで運び、アプローチを50cmにつけてバーディフィニッシュ。10アンダーまで伸ばして、勝利を手繰り寄せた。「“厳しい”と思ったところ(13番)から良い巻き返しができた。3日間競技になったけど、昨日から風もあって、花粉も飛んで頭が痛い時もあって。結構頭を使った」と力を出し切った。

副賞の水上バイクに「楽しいけど、歳を重ねるごとに海が怖い」(撮影/村上航)

「黄金世代」とされる1998年度生まれで初めて、日本ツアー10勝を挙げた。日米両ツアー通算なら11勝の畑岡奈紗もいる。「同級生は強い子がたくさんで。私はプロテストも受かる気があんまりしていなかった。よくここまでこられたなって思う」としみじみ話す。

開幕戦優勝で始まった21年は、目標を「賞金女王」(現在の年間女王)と公言して4勝しながら、賞金ランク3位に終わった。「目指したことで苦戦した。今年は、そこは意識せずに自分の調子とゴルフに向き合って着実にやって行きたい」と、今はそんな気負いはない。

来月で26歳だが、今なお“皆勤出場中”(撮影/村上航)

4月15日で26歳になる。「30歳までやっているかどうか」と“未来予想”を語りつつも「前とはちょっと考え方も変わった」という。プロテスト合格翌年の18年開幕戦から22年「ヨネックスレディス」を欠場し 国内ツアー連続出場は142試合で途切れたが、その週は「全米女子オープン」に出場。今大会まで計209試合、出られる試合は全部出る“皆勤”を続けている。「練習するぐらいなら試合に出たほうがいい」という小祝流思考。それが内面では変化しているという。

「若い世代がどんどん出てきて、毎試合出るのは体力的に厳しい。毎年『過酷』だなと思っている。今はケガもなく、あと3~4年ぐらいは頑張ってやりたい。あと何年できるか分からないけど、モチベーションがある限りは頑張りたい」。不思議っぽくて、すごくて強い小祝には、節目の10勝も通過点かもしれない。 (静岡県袋井市/石井操)

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