「年度初めから混乱」見かね? 菅前首相、沈黙破り岸田首相に苦言「厳しいことでも国民に説明を」

菅義偉氏(資料写真)

 菅義偉前首相(衆院2区)は31日放送(27日収録)のBSテレ東「日曜サロン」で安倍派(清和政策研究会)など自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件への危機感を示し、子ども・子育て支援金創設を巡る岸田文雄首相の今後の対応を踏まえ「厳しいことでも国民に説明を」と2カ月余りの沈黙を破って苦言を呈した。

 菅氏は1月の自民政治刷新本部の開催後に「派閥解消は国民の声」と訴えて以降、表立っての発言を控えてきた。支援金審議が2日の衆院本会議で始まる中、岸田首相は「新たな国民への負担はない」との説明を繰り返している。裏金事件では同研会長経験者の森喜朗元首相への聴取を巡り「今後検討」と答弁する一方で、永田町では「すでに実施した」など情報が交錯。「菅氏は年度初めから混乱必至の情勢を見かねて忠告したのだろう」(自民幹部)とされる。

 番組では「自民党の信頼がこれだけ国民からなくなっている」と現状認識を示した上で「脱派閥」を「悲壮感の中で会合で発言した」と説明した。裏金事件への対応と政治改革に向け「自民党が国民の不信を取り除くために行動していくか極めて大事で最優先だ。そんな生易しいものではない」と指摘。党改革の方向性では「政策集団」として存続する麻生太郎副総裁や茂木敏充幹事長の派閥を念頭に「派閥解消を掲げて党内全体で進むべきだ」と重ねて強調した。

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