「組織体制に問題」橿原市・女児暴行死事件 検証チームが報告書提出

去年6月、橿原市で当時4歳の女の子が母親の交際相手から暴行を受けて死亡したとされる事件について、県と橿原市による検証チームは28日、県と市、双方の組織体制に問題があったとする報告書を提出しました。

この事件をめぐっては、虐待の疑いがあるという通告を複数回受けていた県の高田こども家庭相談センターと、調査にあたった橿原市の初期対応などを検証するチームが去年10月、県と橿原市により設置されていました。

児童福祉の専門家ら5人で構成される検証チームは、16回の会合を通して、のべ30人程度にヒアリングを行い、28日、報告書を山下知事と橿原市の亀田市長らに提出しました。

報告書では橿原市について、センターから調査依頼を受けた際の必要事項の確認や庁舎内での情報共有について不十分であったと指摘。また、県の高田こども家庭相談センターについても、組織的に対応するためのマニュアルが欠けており、橿原市に任せきりになっていた、などと不備を指摘しました。

その上で、どちらの組織も経験不足や、専門職員の不足など組織体制に問題があったと結論付けました。検証チーム座長・西田尚造弁護士は「人員不足や経験不足から市町村との十分な信頼関係を築くことができていない」と指摘しました。

報告を受けた山下知事は「こうした事件を繰り返さない体制の構築が県の責務だ」と述べ、橿原市の亀田市長も「責任を痛感している」などと語り、体制の整備を早急に進める考えを示しました。

提出後、取材に応じた検証チーム構成員の東京通信大学名誉教授・才村純さん(児童福祉)は「今のシステムで行くと、県に(虐待疑いの)通告が寄せられたら、ほぼ事務的に市町村の方に安全確認をゆだねてしまっている。(あるべき体制は)児童相談所も、市町村もお互いにそのケースに対応するパートナー。柔軟なパートナーシップの図式であるべきだ」と語りました。

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