子宮頸がんワクチン副反応を調査 岡山大、大半「コロナより軽い」

 岡山大(岡山市)は、子宮頸(けい)がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンを受けた学生や職員の副反応を調べ、結果をまとめた。国が積極的勧奨を取りやめていた時期に接種を控えた女性を対象に初めて調査。6割が接種部位の痛みを訴えるなどしたが、ほとんどが新型コロナウイルスのワクチンと比較すると「軽かった」と答えた。

 ワクチンの公費助成の対象は小学6年~高校1年相当の女子。ワクチンの種類や年齢によって計2、3回打つ。接種を控えた世代(1997~2006年度生まれ)は25年3月末まで「キャッチアップ接種」として無料で受けられる。現役学生や若手教職員はこの世代に当たり、調査は23年8月~24年1月に学内で接種を受けた10~20代の延べ400人を対象にインターネットでアンケートを行った。

 結果(複数回答)によると、1回目に接種部位の痛みを訴えたのは59%で、大半は翌日に消えた。痛みの程度は「自分が想像する最大の痛みを10点」とした場合、8割以上が0~3点と回答。このほか、腫れ28%▽筋肉痛28%▽倦怠(けんたい)感17%▽かゆみ11%▽発熱4%▽頭痛3%―などだった。

 2、3回目の接種後については、痛みや発熱は1回目と大差なかったが、腫れやかゆみ、頭痛は回数を重ねるごとに増え、1回目と3回目を比べると10~15ポイントの差があった。

 コロナワクチンとの比較では、1回目接種後は「軽かった」「やや軽かった」が85.9%▽「変わらない」が5.3%▽「やや重かった」が0.9%―など。1、2回目は「重かった」と答えた人はいなかったが、3回目は2.3%いた。

 1回目接種前の気持ちを問うと半数以上が不安があったと回答。自由記述で「過去のデータが少なく、副反応がどのくらいか予想できなかった」といった声があったという。

 同大保健管理センターの樋口千草准教授は「今回はキャッチアップ接種に限った調査だが、国が示している副反応の傾向とほぼ同様の結果だった。本人や保護者が接種について考える際の参考にしてほしい」と話している。

 HPVワクチン 2013年4月に予防接種法に基づく定期接種となったが、副反応の報告が相次ぎ、国が同年6月に積極的勧奨を中止。安全性や有効性が確認されたとして22年4月から勧奨を再開した。9価ワクチンは、15歳になるまでに1回目を受けたら計2回接種で、6カ月あけて2回目を打つ。初回が15歳以上のケースは計3回で、2カ月後に2回目、その4カ月後に3回目を受ける。

効果とリスク理解し判断を 岡山大病院産婦人科・小川医師

 子宮頸がんを予防するため、国が定期接種としているHPVワクチン。接種するかどうかは本人や保護者の判断に委ねてられているが、世界保健機関(WHO)は「ワクチンと検診で子宮頸がんの撲滅が可能」として接種を推奨。岡山大病院産婦人科の小川千加子医師は「効果とリスクの正しい知識を知ってほしい」と呼びかける。

 ―子宮頸がんの原因は。

 主にHPVウイルスだと分かっている。性的接触によって大半の女性が感染し、段階を経て一部の人ががんに進行する。国内では年間約1万1千人が発症して約3千人が死亡。子育て世代である20~40代の罹患(りかん)が増えており「マザーキラー」という悲しい別称がついている。

 ―予防として有効なのがワクチンと言われている。

 現在主流となっている「9価ワクチン」は原因ウイルスの9割をブロックできるとされる。最も効果があるのは性的接触を行う前だ。

 ―ワクチンの副反応を不安に思っている人は少なくない。

 他のワクチンと同様、副反応は多くの人に起こるが大半は数日内に消失する。長引く場合や症状が重い場合は、かかりつけ医から相談を受けた岡山大病院などが対応する体制が整っている。不安や疑問に応じる自治体の相談窓口もある。

 ―岡山県内の2022年度の接種率は63.8%だ。

 若い世代を子宮頸がんから守るため、さらなる普及を期待したい。「ワクチンを知らなかった」や「後回しにしていたら有効な時期を過ぎていた」ということがないよう、選択肢の一つとしてしっかりワクチンを理解し、考えてほしい。

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