歩行者が飛び出してきて危ない…アミュプラザ鹿児島立駐前の横断歩道、信号機は付けられない? 代替で設置のデッキ利用は3割

土日は警備員が車と歩行者を誘導する=31日、鹿児島市のアミュプラザ鹿児島東第1駐車場前の横断歩道

 アミュプラザ鹿児島(鹿児島市)の立体駐車場をよく利用する読者から南日本新聞に意見が寄せられた。「アミュとLi-Ka(ライカ)1920を結ぶ横断歩道に信号機を付けてほしい。歩行者が飛び出してきて危ない」。3年半ほど前に高架歩道(ペデストリアンデッキ)が完成した後も、歩行者の多くは横断歩道を利用。県警は信号設置には消極的で、「横断歩道は歩行者優先だが、デッキも利用して安全に渡って」と呼びかける。

 「ビー、ビー」。強いクラクションが鳴り響き、近くの通行人が一斉に振り返る。平日夕方のアミュプラザ東1駐車場前の日常だ。片側2車線で横断歩道は約20メートル。土日は警備員が車と歩行者を誘導するが、平日はいない。特に帰宅客が多い夕方は歩行者が途切れた隙に無理に車が進行する場面が目立つ。道交法で優先される歩行者が申し訳なさそうに小走りで駆け抜ける。

 県警によると、この10年で人身事故は起こっていない。とはいえ、危険な思いをする人は少なくない。車で頻繁に買い物に来る同市春山町の今村麻衣さん(29)は「自転車が急に飛び出すなど何度もひやりとしている。歩行者が渡り切るのを待っていたら、なかなか進めない」と困り顔だ。

 地元の一番街商店街振興組合は十年以上前から信号機設置を要望していた。県警交通規制課は「駅前広場周辺の複数の信号機と連動させる必要がある」と説明。待ち時間が長くなり、渋滞や信号無視を誘発させる危険も懸念し、信号設置に消極的だ。

 代替策として、鹿児島市は2020年10月、横断歩道の頭上にデッキを設置。道路を横切らずに行き来できるようになった。設置時に横断歩道をなくして歩行者の動線をデッキに一本化させる計画もあったが、地元住民らの反対で横断歩道は残された。

 同市西田2丁目の主婦福田アキ子さん(85)は「デッキを使えば安全。だが歩く距離が長くなり高齢者にはきつい」。市が22年10月の平日に実施した歩行者通行量調査でも、デッキを歩く人2530人に対し、地上の横断歩道を歩く人は5508人と7割近くを占めた。

 信号設置を求めていた同組合の長岡洋一理事長(66)は「今では信号機設置を求める意見は少なく、地元の人も現状で安全に通行することを心がけている。車も歩行者もゆとりを持って他者を思いやることが大切なのでは」と話した。

〈別カット〉土日は警備員が車と歩行者を誘導する=31日、鹿児島市のアミュプラザ鹿児島東第1駐車場前の横断歩道

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