【ミャンマー】実勢3800チャット台、国外逃避で外貨買い[金融]

ミャンマーの現地通貨チャットの実勢相場は先週、今年に入って初めて1米ドル(約151円)=3,800チャット台まで弱含んだ。国軍が徴兵を開始する予定の4月が迫る中、対象となる若者の国外逃避が本格化し、資金確保のための外貨買いがチャット安圧力となっている。

情報サイトによると、実勢レートは3月29日、3,800チャット台前半に突入。30日昼時点で、市中の両替商による外貨の売値が3,880チャット、買値が3,800チャットだった。

先週末には、最大都市ヤンゴンなどで徴兵対象者の第1陣の召集が始まったとのうわさが広まった。軍事政権は徴兵制実施を合法化する人民兵役法を2月に発効させ、4月の大型連休明け以降に徴兵を開始する方針を示している。若者の間では、徴兵開始までに国外に逃げなければ国軍への入隊を避けられないという恐怖心が膨らんでいる。

ヤンゴンに住む女性は「外貨の確保が難しくなっている」と話す。国外への逃亡を決心した知人の外貨調達に協力しているが、両替商が外貨売りを拒否することが多くなった。実勢レートのスプレッド(売値と買値の差)は先週に一時、100チャット以上まで広がった。

軍政は市中の両替商が実勢レートで取引することを黙認してきたが、チャット相場の不安定化を受けて取り締まりを強化している。ミャンマー中央銀行は3月中旬以降、両替商25社に対して免許取り消し、または営業一時停止の処分を下した。

© 株式会社NNA