愛される店続ける 伏木復興へ店舗再建、営業再開

仮店舗で営業に励む越村さん夫婦=高岡市伏木中央町

 能登半島地震で建物や道路に大きな被害を受けた高岡市伏木地区で、被災した店舗の再建や営業再開の動きが出てきた。長年地域で親しまれた店の経営者は、自宅や店舗の損壊にもくじけず、「伏木にとどまり、愛される店を続けたい」との思いを胸に、歩みを進めている。

  ●こし村百味堂、商品の7割提供 

 1931(昭和6)年創業の伏木中央町の和菓子店「こし村百味堂」は店舗兼自宅が被災し、大規模半壊となった。店舗向かいの作業所を仮店舗に1月5日に再開。現在は近くで店舗再建の土地や物件を探している。

 代表の越村淳平さん(50)と妻の正美さん(44)は発災時、避難住民を元気づけようと在庫のお菓子を配った。営業再開後、わざわざ店を訪ねてきた住民からお礼の言葉を掛けられたのが励みになっている。

 地震直後には断水のため、つくれる商品はわずかだったが、現在は設備の復旧も進み、商品の7割ほどを提供できるようになった。越村さんは「くじけそうになったときもあったが、何とか頑張ってこれた」と振り返る。

  ●古本なるや、27日復活に準備

 伏木古国府の勝興寺参道近くで営業していた「古本なるや」は、伏木湊町で4月27日の営業再開を目指す。

 なるやは、生活困窮者の自立支援を行うNPO法人で相談員を務める堀田晶さん(49)が開き、「話せる古本屋」として家庭や職場、学校の人間関係などに悩む人々のよりどころとなってきた。

 店舗兼自宅は損壊して手放すことになり、職も住まいも失った堀田さんは見えない不安を感じていた。そんなとき、いままで相談に乗ってきた利用者から逆に、支援物資や寄付金が続々と届いた。堀田さんは「今まで、こちらが支える側だと思っていた。実際のところ、持ちつ持たれつだった」と感謝する。

 再起を決意し、移転店舗では、古本を並べるほか、講座やワークショップの開催といった新たな営業の構想を練る。

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