2次避難者どこへ 富山のホテル、13日まで受け入れ延長

ロビーで談笑する珠洲市の2次避難者=富山市内のホテル

  ●「成り行きに任せる」 仮設決まり安堵、白山麓に移動も

 能登半島地震で珠洲市の被災者が2次避難する富山市のホテルで、石川県は受け入れ期間を当初の3月末から今月13日まで延長した。ホテルからの協力の申し出を受け、富山県、富山市と調整してきた。同日までの仮設住宅入居が決まっている避難者からは住まいのめどが立って歓迎の声が上がった一方、まだ決まっていない人は別の2次避難先に移る予定で、「もう成り行きに任せるしかない」との声が漏れた。

 避難者を受け入れているのは立山山麓にあるホテルテトラリゾート立山国際で、1月20日から珠洲市の避難者を最大124人受け入れた。現在の避難者は75人で、石川県によると、珠洲市の自宅に戻ったり、金沢市のみなし仮設や公営住宅、石川県外の親族宅などに移ったりしている。

 ホテル従業員は被災者の声を聞き細やかなサービスに努め、被災者も食事の配膳を手伝うなど互いに気遣って絆を深めてきた。ホテル側は、立山黒部アルペンルートが全線開通し観光客が増加する今月15日以降も受け入れを継続する予定だったが、避難所運営に当たる富山市職員の負担などを考慮し、延長期限は13日までとなった。

 避難者は珠洲市の宝立、大谷地区の住民がほとんどで、内浦の宝立地区では仮設住宅の建設が進む。自宅が倒壊した高野幸子さん(73)=宝立町=は今月上旬の仮設住宅入居が決まっており、受け入れ期間延長に安堵(あんど)する一方、「仲間にはまだ決まっていない人もいる」と複雑な表情をみせた。

 2カ月に及ぶ2次避難生活を振り返り、「ホテルのスタッフ、富山市の職員にはどれだけ感謝を伝えても足りない。落ち着いたら皆さんと再会するため泊まりにくる」と誓った。

 石川県は新たな受け入れ先について、白山市の白山一里野温泉の宿泊施設で調整を進めている。2日以降に避難者の意向を本格的に聞き取る。立山山麓から白山麓まで移動するバスも用意する。

 大谷地区では仮設住宅着工の見通しが立っておらず、夫婦で身を寄せる大兼政忠男さん(76)=大谷町=は「自宅近くの仮設住宅に入れるのが一番良い。山麓から山麓へ移るのも縁と思いたい」と話した。小池文一さん(76)=長橋町=は「ずっとこのホテルにおれたら良かった。移動は仕方ない」と残念がった。

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