県、広域避難で対応指針 市町村、宿泊業と連携

陸上自衛隊の大型輸送ヘリで石川からの患者を搬送する関係者=1月19日、砺波市の陸自富山駐屯地

  ●1日で発生3カ月

 富山県が今年度、地震や津波などの災害に備えて広域避難の対応指針を盛り込んだマニュアルを策定することが31日、富山新聞の取材で分かった。1日で発生から3カ月となる能登半島地震では、石川県の県外避難者のうち約8割を富山で受け入れており、今後よりスムーズな対応ができるよう体制を整える。県内市町村や宿泊業など関係団体の意見も取り入れ、官民一体で支援に当たる。

  ●年度内に策定

 マニュアルには、広域避難者を把握する名簿の作成や県内での受け入れ先となるホテル、旅館などの情報を盛り込む。宿泊施設は行楽シーズンなどの時期に応じて空き状況が変わるため、事前にどの程度受け入れ可能か想定する。

  ●県外避難、8割富山

 県によると、2月末には石川県の県外避難者の758人のうち580人が富山に身を寄せ、3月26日時点でも、いまだ265人が県内の宿泊施設で暮らしている。ドクターヘリや自衛隊機により、入院患者、高齢者施設の入居者150人を受け入れてきた。

 新田八朗知事は3月27日の会見で、石川の馳浩知事が「県外に避難するなら富山がいい」とする声が多いと話していたとし、「隣県同士の助け合いで、できる限り患者や高齢者を受け入れたい」と支援に努める姿勢を鮮明にしている。

 マニュアル策定は、県が公表した復旧・復興に向けたロードマップ(行程表)に盛り込んだ。ロードマップには2026年度末までの目標やスケジュールを記載しており、県内被災者の生活再建や産業再生とともに、北陸全体の復興に向けた石川、福井との連携を柱の一つに据えている。

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