ずっと、ずっと一緒だよ 夫、父の大間圭介さん県警復帰

(左から時計回りに)大間圭介さん、長女優香さん、妻はる香さん、次男湊介ちゃん、長男泰介君

 「ずっと、ずっと一緒だよ」。金沢市野田2丁目の大間圭介さん(42)は、珠洲市内で犠牲になった妻と3人の子どもに宛てた手紙を北國新聞社に寄せた。3カ月たっても喪失感は消えず、涙も枯れない。それでも、石川県警の警部として3月末に職場に本格復帰した大間さんは本社の取材に応じ「みんなの助けになる仕事をしたい」と語った。最愛の家族が見守ってくれていると信じ、警察官としての使命を果たそうと歩き始めた。

 大間さん一家は元日、珠洲市仁江(にえ)町にある妻はる香さん=当時(38)=の実家に帰省していた。親戚らと団らんのひとときを過ごしていたところに激しい揺れが襲い、裏山が崩れ、はる香さんと長女優香さん=当時(11)=、長男泰介(たいすけ)君=同(9)=、次男湊介(そうすけ)ちゃん=同(3)=が犠牲になった。

 「震災直後の方が現実を受け止められていた」。大間さんは振り返る。時間がたつと、かえって家族の死がうそのように思え、夢の中にいるような感じがするという。家族の衣服や学校のテスト用紙、食器などに触れるたび、記憶がよみがえって涙が流れる。

 子どもたちは、父が警察官であることを自慢したり、憧れを口にしたりすることは少なかった。むしろ、危険を伴う大変な仕事だと心配していた。大間さん自身も、1年前に珠洲署の警備課長を任された時から「地震が頻発していたので、津波で死ぬかもしれないと覚悟していた」という。

  ●「助け求める人の力に」

 3月29日付で珠洲署から警備部公安課課長補佐に異動し、本格的に職場へ戻った。警察官として働く以上、つらく、厳しい現場に再び立ち会うことがあるかもしれない。それでも、「助けを求める人の力になれるのが警察官。必要とされるところで働いていきたい」との思いが勝った。

 地震後、遺族として、さまざまな取材を受けた。「うちの子たちは目立ちたいところがあって。自分たちが頑張って生きてたよってことを、知ってほしいんじゃないかと思って」

 大間さんが災害訓練などでマスコミに取り上げられると、いつも喜んでいた子どもたち。「みんなが生きたかった分を、お父さんが前を向いて生きていくからね」。家族が空から応援してくれている、そう思うと、前を向ける。

  ●夫、父・圭介より

 みんながいなくなって3か月がたちました。お父さんは、金沢の家に一人で暮らしています。掃除も洗濯もしているし、ご飯も作っています。みんながいない生活では、何を食べてもおいしくないし、何をしても楽しくありません。毎日、みんなの写真を眺めては涙を流しています。

 ふとみんなに聞きたいことや話したいことがあっても、いないんだったと気付き、悲しくなります。

 時間が経過して、今は夢の中にいるみたいです。四人で長旅に出ていて、いつか帰ってきてくれるような気がしてなりません。

 ずっとみんなと一緒にいたかった。色々なこともしたかったし、色々な場所にも行きたかった。みんなと一緒に時間を重ねて、成長する姿をずっと見守っていたかった。

 辛く苦しい毎日ですが、みんなが生きたかった分をお父さんが前を向いて生きていくからね。応援していてください。ずっと、ずっと一緒だよ。

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