宇奈月独自の資源活用 キャニオンルート、黒部峡谷、トロッコ電車 開湯100周年シンポで広域観光推進を提言

記念シンポジウムで意見を出し合うパネリスト=黒部市芸術創造センター「セレネ」

 黒部市宇奈月温泉開湯100周年記念事業の締めくくりとなる「感謝のつどい」は31日、同市芸術創造センターセレネで開かれた。武隈義一市長らがパネリストを務めたシンポジウムで次の100年を展望し、産業遺産の黒部宇奈月キャニオンルートや四季折々の景観を楽しめる黒部峡谷など宇奈月にしかない独自の資源をさらに活用、発信し、広域観光を推進していくことを提言した。

 記念シンポジウムには、武隈市長のほか、横田美香副知事、富山新聞芸術賞を今年度受賞した歌手Tomomiさん、黒部・宇奈月温泉観光局の川端康夫代表理事、宇奈月温泉旅館協同組合の濱田政利理事長、黒部峡谷鉄道の鈴木俊茂社長が登壇した。

 武隈市長は100周年記念で240に上る事業が展開されたことを挙げ「宇奈月には企画・実行力、文化を含めた素材、人を引き付ける力がある」と述べ、北陸新幹線延伸やキャニオンルート開放を生かした広域観光推進へ意欲を示した。

 横田副知事はキャニオンルートについて「どこにもない風景に出合える貴重なコンテンツだ」とし、他の宇奈月、黒部ならではの資源も合わせてアピールする大切さを指摘した。

 Tomomiさんは宇奈月温泉が東京ディズニーランド(TDL)のようなテーマパークだったらとの発想で人工知能にTDLの強みを質問すると▽多様性▽季節ごとのイベント▽世界クラスのサービス―などの回答だったと紹介。これらのエッセンスを取り入れるよう提案した。

  ●温泉ウナギを名物に

 川端代表理事は2泊3日以上の周遊型旅行商品造成や温泉ウナギを宇奈月の名物にする取り組みでさらなる活性化を図るとした。濱田理事長は各旅館で高付加価値化改修が進んだとし、さらに食と文化で魅力を高めていく姿勢を強調した。

 鈴木社長は冬のトロッコ電車特別乗車を中心とした体験型ツアーで訪日客を取り込む戦略などを語った。

 約130人が議論に聞き入った。関西電力の多田隆司執行役常務が講演した。懇親会では河田稔実行委員長、武隈市長があいさつ、上田英俊衆院議員、須谷浩史関西電力北陸支社長が祝辞を贈り、大田弘元熊谷組会長の発声で乾杯した。

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