新社会人にエール!中島みゆきと TM NETWORK が不安なアナタの背中を押してくれる!  4月は新しい季節のはじまり!新社会人に送るSNS時代だからこそ聴いてほしい名曲たち

新社会人の方へのエールの代わりに送る、背中を押してくれた曲

4月は新しい季節のはじまり。そして同時に、夢と希望のはじまり!

ーー と爽やかに書き出してしまったが、はじまりは “不安” とも仲良しだから厄介だ。私は新社会人になった時のことをよく覚えている。入社日は何にもわからなくて、「わからないことは誰かに聞きなさい」と言われても聞けなかった。何がわからないかすら、わからない状態だったからである。結局地蔵のように固まり、1日が過ぎた。初日の感想は「ここはどこ、私は誰」――。

それでも何とかなるもので、失敗だらけながらも日々は過ぎていき、今、懐かしくあの頃を思い出すことができている。地蔵状態の初日の次の日も、またその次の日も、ウォークマンとカセット数個をカバンに詰め込み、音楽に背中を押してもらった。今回は、新社会人の方へのエールの代わりに、ほんの少しだけれど、その曲をご紹介したい。

ドラマのメインテーマで主人公気分に

私が助けられたのが、ドラマのメインテーマだ。魂を叩き起こしてくれるような、イキのいい「太陽にほえろ!」と「ルパン三世のテーマ」には本当にお世話になった。今思い返せば、警察と泥棒を通勤の道連れにしていたことになる。

それを聴き、“自分は仕事ができる” という暗示をかけていたのだと思う。両曲ともイントロから疾走感があり、自分が極秘ミッションを任される凄腕の仕事人の気分になれた。私はこの世界の主人公で、私の奮闘がドラマを作り、盛り上げるのだ、と! 最近もこの “主役なりきりテンションアップ法” はよく使う。TBS日曜劇場は強い味方で、「テーマ・オブ・半沢直樹」は特にオススメだ。

さらに近年、仕事終わりにTM NETWORKの「Get Wild」を聞けば、どんな1日であっても「いい仕事ができた」という気分で帰路につける、という説を入手。私もすぐ実践し、効果を実感した。失敗し、不完全燃焼だったとしても、冴羽遼の如く、コートをひるがえし、あのイントロを口ずさみ会社を出よう。そうすれば、その日過ごした1日は完璧になる!

揺り動く心をニュートラルにしてくれる「鳥は鳥に」

しかし、私が主人公であるように、周りのみんなも主人公だ。つまり、あっちを見てもこっちを見ても主人公だらけなのだ。社会に出たことで、それをつくづく知った。想像はしていたけれど、それ以上にいろんな人がいて、いろんな考え方があるとは。毎日私の知らない何かが必ず出てきて、世界を新しく彩っていくのだ。 その驚きと戸惑い、心細さは、心を揺り動かす。それを、ふーっとニュートラルにしてくれる曲が、谷山浩子さんの「鳥は鳥に」(アルバム『水の中のライオン』収録曲)だった。

人も鳥もなにもかも、それぞれの夢があり、それぞれの時があると歌い、「♪いつの日かみんな ひとつになれるまで」という、やさしい、やさしい言葉がついてくる。

ついつい自分と違うことが多い寂しさ、怖さが先に立ち、猛烈に孤独を感じることもある。けれど、それぞれの旅路を行けば大丈夫。どこかで交差する。いやいや、すでに、いつの間にかどこか一部分が混ざり合い、ひとつの大きくて尊いなにかを作っているのかも? 美しくて繊細で、ふわっと空気に溶けていきそうな谷山さんの声は、そう思わせてくれる。

SNS時代だからこそ聴いてほしい「ファイト」

そして最後は、中島みゆきさんの「ファイト!」。初めて発表されたのは1983年(アルバム『予感』収録)。41年も前の歌なのだが、ずっと愛され続けている。いつの時代も頑張る人にこんなに響く歌はない。全然頑張れないと焦っていた私だが、そのもがいている気持ちが、もうじゅうぶん頑張っていると思わせてくれた1曲だ。

「ファイト!」は、罪悪感やコンプレックスの告白から入っていく。そこから中島みゆきさんが投げてくる「ファイト!」の声は、背中をさするような囁き声だったり、やさしかったり、いろんな「ファイト」がある。だからあなたの心に響く「ファイト」が絶対ある。そして、「ファイト!」という掛け声に続く、印象的な歌詞がある。

 闘う君の唄を  闘わない奴等が笑うだろう

仕事、コンプレックス、人間関係、何かと必死で闘っていると、なぜか、その姿を笑ってくる人がいる。ジタバタして無様だと、からかう人もいる。SNSで、知らない人が “w” 付きで、知ったような口ぶりで嘲笑してくることもある。これはもう少なからず絶対いる。でも気にする必要はないのだ。それは、闘いもしない人だから。

約7分の楽曲だけど、途中で止めないで。だんだん力強く朗らかになっていく「ファイト!」は勇気をくれるだけでなく、やりきれない怒りや悲しみも吸い込んでくれるはず。新しい門出、おめでとうございます。ファイト!

カタリベ: 田中稲

© Reminder LLC