不動産で違法勧誘か 茨城県内、昨秋から多発 20代男性 契約被害も

悪質な不動産勧誘について注意喚起する県警などのチラシ

不動産売買を巡り違法な勧誘行為が茨城県内で多発している。アパートやマンションに会社名や目的を告げずに訪問したり、断っても長時間居座ったりして、不動産を購入するよう執拗(しつよう)に勧誘。県内では昨年、20代男性が返済困難な金額で一戸建て住宅を購入させられる被害も起きており、県警や県消費生活センターなどが注意を呼びかけている。

県警によると、勧誘の手口は、会社名や目的を告げずに訪れ、個人情報を聞き出す▽断ると人格を否定したり、営業妨害などと訴えて土下座を強要したりする▽高圧的な態度で契約を迫る▽断っても長時間居座る▽夜間に訪問する-など。これらの行為は宅地建物取引業法や特定商取引法の禁止行為とされている。

不動産の悪質勧誘に関する相談は昨年10月ごろから目立ち始め、今年1月以降に県警に寄せられた相談は数十件。県消費生活センターにも2023年度、同種相談が22件(3月14日現在)あり、うち半数以上が20~30代の男性からだった。市町村の消費生活センターへの相談件数は含まれておらず、県内全体ではさらに増加するとみられる。

違法な勧誘行為で一戸建て住宅を購入させられたという男性の家族は、茨城新聞の取材に対し「(不動産業者が)努力しながら経済的に限界寸前の生活を送ることが正しいと洗脳して契約した」と話した。

家族によると、男性は独身でアパートに1人で暮らしていた。一戸建ての購入計画はなかったが、何度も訪れる営業担当者から「購入するのは若い方がいい」などと迫られ、数千万円の住宅ローンなどを契約。直後に契約解除を申し出たが応じてもらえなかった。住宅ローンの返済計画書は、多額の預貯金があるように書き換えられていたという。

金融機関の住宅ローンの場合、年収に占める年間返済額の割合は25~35%が目安だが、男性の場合は45%を超えていた。

県警は、訪問販売に対しては玄関ドアを開けず、インターホン越しに対応するよう注意喚起。曖昧に返事せず、きっぱりと断るよう求め、「執拗な勧誘を受けた際には110番してほしい」としている。

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