博士号取得者数を2040年で3倍に、文部科学省が意欲的な目標公表

文部科学省は、人口100万人当たりの博士号取得者数を2040年に、2020年度比で3倍に増やし、世界トップ級にするという意欲的な「博士人材活躍プラン」をまとめた。主要国の中で日本だけが博士号取得者数が減少傾向にある状況を打開するのが目的で、産業界にも協力を呼び掛けている。

文科省によると、博士人材活躍プランでは人口100万人当たりの博士号取得者数を2040年で2020年度比で3倍の300人以上に増やすとともに、学士号取得者に対する博士号取得者の割合を3倍の8%、博士後期課程で学ぶ学生の就職率を2023年度より10ポイント高い80%に引き上げるとした。

日本の博士号取得者数は2021年度で人口100万人当たり123人。英国の340人、ドイツの338人、韓国の317人、米国の285人、フランスの137人に後れを取っている。

他の主要国はフランスがほぼ横ばいだが、その他は長期的に増加傾向が続いているのに対し、日本は低落傾向に歯止めがかかっていない。大学院の修士課程から博士課程に進む学生は2023年度で2003年度から4割減った。これが日本の科学力や技術力を低迷させる要因の一つと指摘する声も出ている。

最大の原因は博士号取得後のキャリアパスが十分に整備されていないことで、文科省科学技術・学術政策研究所が2021年度に修士課程を修了(卒業)する予定者に調査したところ、修士課程で学ぶ学生の約3割が「博士課程修了後の就職が不安」「博士課程に進むと経済的な見通しが立たなくなる」と答えている。

文科省は博士課程で学ぶ学生の不安解消に向け、博士人材の獲得を産業界に呼び掛ける一方、優秀な学生に対する生活費相当額の支援や授業料減免を促すことにしている。

参考:

【文部科学省】「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」について(PDF)

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