岡崎紗絵、『GTOリバイバル』初の教師役で反町隆史から受けた影響 「マインドが変わった」

反町隆史が“伝説の教師”鬼塚英吉を演じた1998年放送の『GTO』(カンテレ・フジテレビ系)が、カンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ『GTOリバイバル』として26年ぶりに復活する。池内博之、窪塚洋介ら当時の生徒役キャストや、冬月あずさ役の松嶋菜々子ら1998年版のキャスト陣が再集結することでも話題の本作。鬼塚(反町隆史)が副担任として赴任する私立相徳学院高校3年1組の担任・綾原美結を演じるのは、1月クールの連続ドラマ『アイのない恋人たち』(ABCテレビ・テレビ朝日系)でゴールデン・プライム帯ドラマで初のヒロイン役を務めたことも記憶に新しい岡崎紗絵だ。そんな岡崎に、“伝説のドラマ”に参加できたことの喜びや、主演の反町から受けた影響などを語ってもらった。

意識したのは冬月先生(松嶋菜々子)

ーー26年ぶりの復活となる『GTO』に出演できると聞いたときはどういう気持ちでしたか?

岡崎紗絵(以下、岡崎):伝説と呼ばれていた作品が26年ぶりに復活するというだけでも驚きなのに、そこに私が参加できるというのが本当に感動的で。純粋にすごいなと思いましたし、あの世界観に自分が入ることができる喜びを感じました。

ーー年齢的に岡崎さんは1998年放送の『GTO』をリアルタイムではご覧になっていないと思いますが、作品自体は観ていましたか?

岡崎:再放送で何度か目にしていたのですが、あまりストーリーを追えていなかった気がするので、今回出演が決まったときに改めてちゃんと観てみたんです。そしたら、(鬼塚は)なんてド派手で破天荒な先生なんだろうと(笑)。熱い気持ちを持って、誰よりも生徒のことを考えて行動していく姿は、本当に美しいなと思いました。

ーー岡崎さんが演じるのは、鬼塚が副担任を務めることになる3年1組の担任教師・綾原美結です。

岡崎:鬼塚先生が副担任で、私が演じるのが担任ということにドキドキしちゃいました(笑)。美結は、強いエネルギーを持って生徒と対峙できていたわけではなく、熱さを失ってしまっていた先生なんです。それが鬼塚先生が来ることによって、彼女自身にも変化が生まれ、救われていく。ドラマの中でも、鬼塚先生の影響を一番受ける役柄だと思います。

ーー教師役に挑戦するのは今回が初めてだったそうですね。

岡崎:もう生徒役じゃないのか……という寂しい部分もありつつ(笑)、自分にとってはものすごく大きなチャレンジでした。私の中で、先生ってすごく大きな存在で。学生の頃はすごく大人なイメージがあったので、最初はそういう役に自分が挑戦できるということにあまり実感が湧きませんでした。実際にチャレンジさせていただいて、学ぶことはたくさんありましたね。

ーー具体的にどういうことを?

岡崎:多感な時期の10代の若者たちに大事なことを教える責任感を感じました。教壇に立つと、約30人の生徒の視線が一気に集まるんですよね。それを毎日やっている先生って、すごい職業だなと思いました。私は授業のシーンを少しやるだけでも、ものすごく緊張してしまって。

ーーいろんな現場を経験されている岡崎さんでも緊張するものなんですね。

岡崎:毎日何時間もやられていると考えると、自分には到底できないなと思いました。本当にすごいなと。

ーー生徒役のキャストたちはみなさん年下だったと思いますが、関係性はうまく築けましたか?

岡崎:連ドラではなく2時間のスペシャルドラマということもあって、そこまで多く接することはできかったんですけど、みなさんのフレッシュさにパワーをいただきました。私はあまり偉そうなことを言える立場ではないのですが、生徒役の皆さんと一緒にお芝居をするシーンでは、どうやったらやりやすいかを一緒に考えたり、提案させてもらったりもしました。

ーー初めて先生役に挑むにあたって、何か参考にした作品はあったんですか?

岡崎:それこそ1998年版の『GTO』はすごく参考にさせていただきました。キャラクターや人物像は違えど、『GTO』で鬼塚先生に振り回されつつ、影響を一番受けるのが冬月先生(松嶋菜々子)なので、そこはちょっと意識していました。

ーー『GTOリバイバル』における冬月先生のポジションと考えると、ものすごい大役ですね。

岡崎:本当ですよね。震えちゃいます(笑)。

『オールドルーキー』以来の共演となった反町隆史から学んだこと

ーー岡崎さんと反町さんといえば、2022年に放送された日曜劇場『オールドルーキー』(TBS系)で、社長と秘書という関係性を演じられていたのも記憶に新しいです。担任と副担任という今回の関係性とも繋がる部分がありますね。

岡崎:『オールドルーキー』で共演させていただいた経験はものすごく大きかったです。『オールドルーキー』で初共演させていただいたときは緊張感があったんですけど、今回は反町さんの人柄を知った上での共演だったので、そういった意味でのやりやすさはありました。今回はじめましてだったら、作品に対するプレッシャー的にももっと緊張していたと思いますし、距離感もなかなか掴めなかっただろうなと。『オールドルーキー』での経験があったからこそ、物語により深く入り込めた部分はすごくありました。

ーー岡崎さんから見て、反町隆史さんはどういう方ですか?

岡崎:オーラがものすごいんですよ。だから『オールドルーキー』のときは簡単に近づけないなと思っていて。でも、意外とお話をしてださる方で。今回再会したときも、「またよろしく!」みたいに言ってくださって、それで緊張がほぐれました。また共演できて嬉しかったです。

ーー反町さんと鬼塚にはどこか通じる部分もありそうですね。

岡崎:鬼塚先生のようにみんなを動かしていくパワーは反町さん自身からもすごく感じました。『オールドルーキー』のときもそうでしたが、後輩たちのことを常に考えてくださる方で、本当に優しさに溢れていて。私たち他のキャストが言葉に出さずに「もうちょっとこうしたほうがよかったかな」みたいな仕草や表情をすると、すぐにそれを察知してくれて、「もう1回やる?」と声をかけてくださるんです。そういう器の大きさを今回はより感じました。

ーー今回のドラマでもさまざまな生徒が出てきますが、岡崎さん自身はどういうタイプの高校生でしたか?

岡崎:え~、どうですかね……。でも楽しいことは大好きな高校生でした。体育祭や文化祭など何か行事があるとそれにまっしぐらになるタイプでした。夏休み返上で準備をしたり、とにかく“いいものにしたい”という思いが強かったですね。どうやったら楽しくなるかを考えるのがすごく好きでした。

ーーそれは今でも変わらずですか?

岡崎:そういう性格的な部分は今も変わらないですね。人とお話しするのが大好きですし、連続ドラマの現場とかでも、約3カ月という短い時間の中で、共演者の方とどれだけコミュニケーションが取れるかを大事にしたいと思っているので。

ーー高校時代の自分に何かアドバイスをするとしたら……?

岡崎:わ、なんて言おうかな……。「もうちょっと柔らかくていいよ」ですかね。

ーーその心は?

岡崎:学生の頃は、「こうしなきゃいけない」「ああしなきゃいけない」という先入観がすごく強かったんですよね。それでがんじがらめになってしまって、うまくできないこともあったりして。自分のことを責めすぎてしまうというか、とにかく絶対に前に進まなきゃいけないという固定観念が強かったんだと思います。

ーー自分自身に厳しかったと。

岡崎:そうですね。初めて挑戦することでも、絶対にできなきゃ嫌だったんです。傍から見たらできなくて当たり前のことでも、当時の私はできないと嫌でした。負けず嫌いだったんですよね。でもそれは、できないことが嫌というよりは、できないことをずっと悔しがっている自分のことが嫌だったんです。何かできないことがあると、なんでできなかったのかを延々と考えてしまって、後ろばかり見てしまっていたというか。だから、後ろばかりを見るのではなく、できないことを認めてあげて、どうやって前に進んでいくのかを考えていくことの方が大事だよ、と言ってあげたいですね。自分に対して厳しいことはいいことだと思うんですけど、私の場合は反省ばかりしていて、全く改善しなかったので。

ーーそれは大人になってから変わったんですか?

岡崎:完全に抜け切れているわけではないと思いますけど、歳を重ねて柔らかくなって、ある程度余裕は出てきた気がします。今は切り替えのスイッチがあるイメージで、早い段階で考えるのをやめて、次にどうするかを考えていくようになりました。でも考えてしまう癖は自分のベースにあるので、その“切り替え”をさらにうまくできるようになりたいです。

ーーありがとうございます。では最後に、『GTOリバイバル』に参加して、岡崎さんが新たに感じたことや得た気づきがあれば教えてください。

岡崎:『GTO』26年ぶりの復活ということで、反町さんの26年分の思いや熱を、現場にいる人間として一番近くで感じました。『GTO』という偉大な作品ではありますが、反町さんが仲間として迎え入れてくださって、みんなで一緒に作っていく感覚があったんですよね。いい作品を作りたいという気持ちが、みんなに芽生えていたと思います。私にとって、「作品づくりってこういうことだよな」と改めて思わせてくれた現場が、この『GTOリバイバル』でした。

ーー岡崎さんにとっても大きなものを得た現場だったと。

岡崎:反町さんのおかげでみんなが熱くなれたと思いますし、反町さんが愛で現場を包んでくださったことで、私たちもチャレンジすることの大事さを改めて実感しました。反町さんがきっかけを与えてくださって、私たちのマインドも変わった気がします。『GTOリバイバル』は、そういう気持ちを強く思わせてくれた作品でした。
(文=宮川翔)

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