医師の働き方改革スタート 県内でも超過勤務改善へ 医療の質維持に懸念

 4月から勤務医の時間外労働に罰則付きの上限を設ける「医師の働き方改革」がスタート。愛媛県内の医療機関でも超過勤務を減らそうと業務の見直しが進む。ただ、規制下でこれまでの医療の質を保つことができるかどうか、現場からは懸念も聞かれる。

 愛媛新聞社は県立4病院(中央、新居浜、今治、南宇和)医師の超過勤務を調べるため、過去5年間(2018~22年度)分を情報公開請求した。

 開示資料によると、年960時間以上の「過労死ライン」を上回っていた医師は南宇和を除く3病院で確認された。18年度は3病院の医師300人のうち38人(12.6%)に上った。

 ただ、以降は総じて減少傾向で推移。県中央病院では新型コロナウイルスの影響などで一時、超過勤務の増加がみられたものの、22年度は3病院293人のうち、18人(6.1%)にまで減った。県は宿日直体制の見直しや、複数主治医制の導入などによる効果を挙げる。

 それでも、現場の維持が医師らの踏ん張りに負うところが大きいのは事実。規制を厳格に適用すれば、地域医療への影響が大きいとみる向きは少なくない。

業務に従事する済生会松山病院の医師ら=3月上旬、松山市山西町

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