【DeNA】度会隆輝が超ド派手プロデビュー!その裏にある心と技、伝えたい野球への愛「小さい子供たちに楽しさを分かってもらえるように」

☆いきなり輝いた一番星

2024年のプロ野球開幕。各球場で熱戦が行われ、多くのファンが心を踊らせた。その中でもDeNAのドラフト1位ルーキー・度会隆輝の残したインパクトは、目を見張るモノがあった。
まず29日の開幕戦では3回、3点ビハインドの1死一、二塁の場面で登場し、一振りで試合を振り出しに戻す3ランホームランでガッツポーズ。三浦政権初となる開幕戦勝利に大きく貢献した。

30日には第1打席でいきなり頭部にデッドボールを受けその場で悶絶。しかしベンチ裏でコンディション確認後、颯爽とゲームに戻りすかさず盗塁を決め、4回のホームランを含む4安打の固め打ち。連日お立ち台で「最高でぇす!」と叫び、ファンの心を鷲掴みにした。

☆平常心と吸収力で結果

三浦監督も「想像を超えてくる」と驚愕の活躍。その裏にはプロ一年生とは思えぬ準備があった。

まずプロへの第一歩を踏み出すゲームにも「普段の生活は変えたくないので、本当にいつもと変わらない生活を送っていく中で、今日はプレーできました」と浮足立ってもおかしくないところでも気負いなく、平常心を心がけ結果につなげる強心臓ぶりを発揮。

そのうえで、もちろん初見のプロ一流のピッチャーに対し「自分もしっかり事前の準備でイメージをしてますし、その中でも先輩の方々は対戦している方も結構いらっしゃるので、そういう方からピッチャーの情報などもいろいろ聞く中で、意識をして試合に臨みました」とチームからの情報のほか、臆せず年上のチームメイトからアドバイスをもらっていく姿勢も逞しい。その事前の入念な準備があるからこそ「ファーストストライクを思い切って打ちに行く」ことを迷いなく実践する原動力になっている。

危険な部分へのデッドボール後も「ちょっとの怪我であったなら休む暇はないので。全力プレーでチームに貢献するって言ってる以上、自分は体がボロボロになってもやらなきゃダメな立場なんで」と、ゲームへの執着心も並々ならぬモノがある。

またもちろん今までも「デッドボールは何回か当たっている」と危険なボールも投げられていたが、バッターボックスのベース寄りギリギリに立つことは止めず「当てられた後にスタンス変えてたら打てないと思うんで。そこは当てられようが、自分のスタンスは変えたくないんで、同じ場所に立ってます」とこれからも自分を貫き通すと強調する。さらに「怖いと思ったことはないですね。打席に立ってる以上、怖いって言っていたら打てないと思うんで」と負けん気の強さも一級品。その先には「苦手な球をどれだけ作らないかが今後の結果に繋がると思ってるんで。全てどこでも打てるバッターは存在しないとは思いますけど、そういったバッターになれるように」との高みを見つめている。☆大きな野球への愛

打席では一歩も引かない闘争心を胸に持つが「ピッチャーの方も全力プレーをやってる中でのデッドボールなので、そこは仕方のないこと。次回以降にまた戦える機会があったら、また真剣勝負ができたらいいのかなと思います」と、相手を気遣う清々しさも兼ね備える。
そして、そこには「ホントに野球って素敵なスポーツですし、今野球やってない子供も 絶対に野球をやった方がいいと思いますし、そう思えるものなんで」と野球に対しての深い愛情がある。「自分もちょっと前までアマチュアでやってましたけど、いざプロとしてここに立ってみて、野球って本当に素晴らしいスポーツなんだなって改めて思ったんで、もっともっと小さい子供たちに野球って楽しいんだよっていうものを分かってもらえるように、自分も頑張りたいと思います」と究極の目標に向けて前を向いた。

プロ入り前から公言し続けている「僕のプレーを見てくださっている皆さんに、勇気や笑顔を与えられるように」をスタートから実践してみせた“ハマの一番星”。眩い輝きでスタジアムを照らし続けたとき、野球界の裾野も広がっていく。

取材・文●萩原孝弘

© 日本スポーツ企画出版社