生命の誕生を表現、姫島村の大帯八幡社に巨大絵画 日本画家の沈露露さんが奉納【大分県】

大帯八幡社に奉納した絵画の大作と、報告祭に出席した(左から)江原不可止宮司、沈露露さん、矢野麻理さん=姫島村
姫島村の大帯八幡社
姫島村の大帯八幡社

 【姫島】姫島村の大帯(おおたらし)八幡社に、大分市在住の日本画家沈露露(しんろろ)さん(49)=中国・武漢市出身=が絵画を奉納した。生命の誕生を表現した縦約2.4メートル、幅約15メートルの大作。神社関係者は「素晴らしい作品。大切にしていきたい」と話している。

 作品のタイトルは「宙(そら)」。墨で染めた和紙に色があせにくい岩絵の具で宇宙の渦を描き、命の誕生を表現している。沈さんは「宇宙から見れば人間は小さな存在。自然への敬意を忘れてはならないとの思いを込めた」という。

 寄贈のきっかけは5年ほど前。沈さんが観光で姫島村を訪れた際、大帯八幡社の江原不可止(ふかし)宮司(65)と知り合った。親交を深める中で、沈さんが社務所のふすまに水墨画を描くことを提案。江原宮司が「せっかくなら拝殿回廊の白壁に飾る絵を描いてほしい」と提案した。

 出来上がった作品は昨年11月、県立美術館(大分市)であった日中文化交流展「古今」で披露された。会場で見た江原宮司は「あまりの迫力に腰を抜かすほど驚いた。こんなすごい作品を奉納してもらって良いのだろうかと思った」と振り返る。

 2月15日には大帯八幡社で奉納報告祭を開催。江原宮司と沈さん、妻で日本画家の矢野麻理さん、娘の心路(こころ)さんが出席した。

 大帯八幡社は1864(元治元)年の大火で古文書などが焼失した。江原宮司は「神社に宝と呼べるものがなくなってしまっていたが、新たな宝ができた。大切に受け継いでいきたい」と話している。

 日頃は公開しておらず、七五三など神事の際は見ることができる。

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