バッハ声楽曲 全220曲演奏へ 郡山、東京で20年かけ公演 計画

全曲演奏プロジェクトをスタートする「プロムジカ使節団」

 古殿町出身のチェンバロ奏者・指揮者の円谷俊貴さん(35)が創設したオーケストラ「プロムジカ使節団」(東京)は本年度から、約220曲に及ぶバッハのカンタータ作品の全曲演奏プロジェクトに取り組む。東京、郡山の2カ所で定期的に公演を重ねながら、国際的に活躍する古楽演奏団体を目指していく。

 カンタータは、合唱などに器楽・管弦楽演奏が付いた声楽曲。世界的に活躍する古楽団体の多くが、バッハのカンタータ作品の演奏や研究に取り組んでいるといい、円谷さんは「バロック音楽の全てが詰まっているといっても過言ではない」と評する。

 円谷さんは安積高卒で、東京芸術大の声楽科テノール専攻、器楽科古楽チェンバロ専攻の両科を卒業した。ソロのほか、NHK交響楽団メンバーによるアンサンブルへの参加などで精力的に活動してきた。

 2020年にはオーケストラのプロムジカ使節団を創設した。プロジェクトに取り組む原点は大学時代に「バッハカンタータクラブ」に入部したこと。バッハの声楽作品が存在したことを知り、その魅力に魅せられた。一方、「こんな体験を中学、高校時代にしてみたかった」との思いもあり、拠点の東京と高校時代を過ごした郡山で公演を開催していくことを決意した。

 約20年を要する大プロジェクトで、8月1日に東京都のとしま区民センターで第1回公演を予定している。郡山市では25年以降の開催を目指す。「バッハのカンタータはメッセージ性があり、日本人の感性に通じる」と魅力を語る円谷さん。「東京で実績をつくりながら、郡山にも根付いていきたい。『楽都郡山』を担う音楽家の卵や音楽教育を支える皆さんと交流できる空間にできればと思う」と抱負を語った。

 詳細はプロムジカ使節団のホームページ(https://promsinc.com/)から。

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