ビーツ×マーボー豆腐?! 情熱注ぐ創作中華はさっぱり、やさしい無二の味 飯能の「中国味界 海燕」

ビーツで赤紫色に仕上げた「ビーツの赤いマーボー豆腐」

 埼玉県飯能市の加治丘陵の麓に、一軒の店がたたずむ。「中国味界 海燕(はいえん)」だ。「裏山(加治丘陵)の良い空気で料理もおいしくなるのかなと思う」。オーナーの小島久雄さん(70)が顔をほころばせる。

 小島さんは飯能市生まれ。料理の専門学校に通う傍ら、飯能駅近くの食堂でアルバイトに励んだ。ここで中華料理と出合い、卒業後は東京都内の中華料理店に勤めた。「中華の基本を教わった。良い先輩と巡り合えた」。1980年代に独立し、飯能の別の場所で海燕を開業。92年から現在の店舗で営業を続けている。

 さっぱりと、やさしい味。それが海燕の真骨頂だ。カレー風味の豚ロースの唐揚げを乗せた「わらじタンタン麺」や、みじん切りにした青ネギに熱い油をかけて香りを高める「青ねぎ味噌(みそ)ラーメン」。無二の味を求めて遠方からも客が訪れる。

 「他の人がやらないことをやりたい」。定番の中華料理とともに小島さんが情熱を注いできたのが、創作料理だ。

 2017年の「全国ヘルシー中華料理コンテスト」の料理部門では、鶏肉や野菜の炒め物をアボカドに詰めた料理で厚生労働大臣賞に輝いた。「さいたまヨーロッパ野菜料理コンテスト」で優秀賞を受賞した「ビーツの赤いマーボー豆腐」はペースト状のビーツを使い、赤紫色に仕上げる一品。店舗ではメニューの一つとして楽しむことができる。

 店舗の後継者を模索してきたところ、和食職人として働く親族から手が挙がった。「好きなようにやっていいと言った。一代で終わらせるのはもったいないから」。小島さんは一層、相好を崩した。

【主な人気メニュー】 青ねぎ味噌ラーメン(930円)、ビーツの赤いマーボー豆腐セット(1180円)、飲茶セット(1530円)、季節のセット(1380円~)など。

【メモ】 中国味界 海燕 飯能市落合259の3(電話042.973.9786)。営業時間は午前11時~午後2時。定休日は毎週水曜で、ほかに月1日の休日。アクセスは飯能駅南口から西武バス東青梅または岩井堂行き「落合」バス停のそば。

厨房(ちゅうぼう)に立つ「海燕」の小島久雄さん

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