閉館した福井市文化会館の解体工事が本格化、移転事業は財政難で凍結…今後どうなる?

解体が始まっている旧福井市文化会館=3月29日、福井県福井市春山2丁目

 旧福井市文化会館(福井県福井市春山2丁目)の外部解体工事が4月から本格化する。2020年度末で閉館し、内部解体は昨年9月に開始。進捗は順調で、外部解体中の防音と飛散防止のためパネルで覆い作業を進めていく。コンサートや児童生徒の音楽会などが開催され多くの市民に親しまれた建物が姿を消し、25年夏には完全に更地となる。

 同館は鉄骨鉄筋コンクリート造りで地上4階、地下1階建て。敷地面積は約2600平方メートル。1162人を収容するホールを備えていた。1968年に完成して以降、半世紀にわたり文化芸術の拠点として使われた。戦後福井の建築史で、独創的なデザインの大規模建築物として高い評価を得ていたが、建物や設備が老朽化しており、耐震性能が不足することから閉館し解体することになった。

 昨年9月末には近隣住民向け説明会を実施。一部塗料などにアスベストが使用されていたため、除去しつつ内部解体を進めてきた。外部の解体や外構工事、地下部分の解体と埋め立てを行う。解体にかかる費用は4億6213万円。市営繕課は「なるべく音やごみが出ないよう配慮し進めていく」と話した。

 市文化会館は当初、市東公園への移転新築を予定していたが、18年の大雪による財政難で事業が凍結された。西行茂市長は第8次総合計画最終年度となる26年度に、文化会館の在り方検討を再開する方針を示している。

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