父から就職祝いに「カルティエ」の腕時計をもらいました。こういったお祝いでも「税金」はかかるのでしょうか? モノなら大丈夫ですか?

110万円以上の場合は贈与税がかかる

国税庁のホームページによると、年間に受け取る贈与の総額が110万円を超えた場合、贈与税が発生します。つまり、もし父から受け取ったカルティエの腕時計が110万円以上の価値があれば、贈与税の対象となる可能性があるのです。

例えば、カルティエの腕時計が120万円の価値があるとしたら、110万円を超える部分、つまり10万円に対して贈与税がかかることになります。重要なのは、この110万円というのは年間の総贈与額に対して適用されるので、年内に他にも高価な贈り物や現金などを受け取る場合は合計額が重要になります。

【これだけ知っていればOK!】贈与税の計算方法を解説

贈与税の計算方法は意外とシンプルです。贈与された財産の総額から基礎控除110万円を差し引き、残った金額に対して税率が適用されます。税率は贈与される財産の金額と受贈者との関係によって変わります。具体的には、受け取り側が成人しており、直系尊属(例えば父母や祖父母)からの贈り物の場合は特別贈与として優遇されます。

計算式は以下です。

贈与税額=(贈与された合計額-基礎控除110万円)× 税率-控除額

例として、贈られたカルティエの腕時計が500万円だったとします。この場合の贈与税は、500万円から基礎控除110万円を引いた390万円に対して計算されます。390万円に税率15%を掛けて控除額10万円を減算すると、贈与税額は48万5000円になります。

基礎控除額110万円を減算した後の課税価格と、税率および控除額の関係は図表1の表のとおりです。

図表1

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)より筆者作成
<注釈>今回は就職祝いということで、質問者は成人(18歳以上)を想定しており、「特例贈与財産用」の表を参考にしています。対して、「一般贈与財産用」の計算方法は少し異なります

贈与税を少なくする方法とは?

節税を考える場合、贈与税を減らす方法がいくつかあります。一つは、贈与される物の価値が基礎控除の110万円以下であることを確認することです。また複数の贈与を受ける場合は、可能であれば贈与のタイミングを調整し、年をまたぐことで贈与税を抑えることができるかもしれません。

さらに、贈与の対象となる財産の時価が下がったときに受け取ることも一つの方法です。価値が下がれば贈与税額も少なくなります。したがって、市場価値が変動する可能性のある贈り物については、価値が下がったときに受け取ることで税金を節約できます。

高価な贈り物を受け取るときは贈与税を意識しよう!

カルティエの腕時計のような高価な贈り物は、贈与税の対象となる可能性があります。贈与税がかかるかどうかは、その時計の価値が110万円を超えるかどうかです。超える場合は、その超えた分に対して贈与税がかかることを覚えておきましょう。

また1年間の総贈与額が110万円を超える場合も税金が発生するので、カルティエの腕時計が110万円以下であっても、他にも高価な贈り物を受け取る予定がある場合は注意が必要です。贈与税の計算は、受け取った全ての贈り物の総額に基づくため、年間の贈与総額を把握しておくことが大切です。

節税のためには、贈与される物の時価が下がったときに受け取る、または基礎控除の範囲内で受け取ることが有効です。そして、受け取るタイミングを調整することも一つの手段となり得ます。

贈与税は複雑に思えるかもしれませんが、基本を理解しておけば心配の必要はありません。高価な贈り物を受け取る幸運に恵まれたら、税金の面でも賢く対処しましょう。お祝いの時計が贈与税の対象にならないことを願いつつ、就職後の新しい生活をぜひ楽しんでください。

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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