難波市長就任1年で『独自色』全面に 専門家は「トップダウン型」でリーダーシップ発揮するが『課題』も指摘 静岡市

去年4月に誕生した難波市政。課題が山積している静岡市のトップとして、今年度はめまぐるしい1年となりました。

東静岡アリーナや海洋文化施設、新スタジアム構想など、多くの構想を田辺前静岡市長から引き継いだ難波市長。
それに加えて“難波カラー”も全面に押し出しました。

静岡市 難波喬司市長(2月):「これからは歩いて楽しめる街」

長年課題となっているJR静岡駅と中心市街地の分断問題では、新年度の一般会計予算に2100万円を盛り込みました。

また、リニア新幹線をめぐっては、かつての上司である静岡県の川勝平太知事に対し、次々と異論を唱える場面がみられました。

静岡市 難波喬司市長(去年12月):「企業の経営に関係ない者が『部分開業がいいです』とか、そんなことを言う話ではない」

静岡市 難波喬司市長(2月):「静岡は止まりませんので、リニアが」

川勝知事のリニア問題に対する考えに持論を展開しました。実は現役の「大学の客員教授」でもある難波市長。リニアを巡ってはダイコン片手に南アルプストンネルについて解説する場面もありました。

専門家は…

就任1年で存在感をみせつけた難波市長を、県内政治に詳しい専門家はどうみているのでしょうか。

静岡大学 井柳美紀教授:「自ら陣頭指揮を執ってスピード感もあるところが特徴で、官僚出身だが、調整型というよりはトップダウン型のリーダーシップを発揮してる首長というような印象を持っている。政策面で言えば、一つは危機管理の分野での成果ということが得意分野ということで、一定の成果を上げているということ。それからハコモノについて、かなりスピード感を持って取り組んでいるということと、民間投資を呼び込む形でのやり方ということを掲げているというところが特徴的」

一方で、井柳教授はこの先の「課題」についても指摘しています。

静岡大学 井柳美紀教授:「やはりハコモノなどは民間投資を呼べるかというのも重要だが、同時にやはり市民の共感や納得をどう得ていけるのか、その根拠、エビデンスと共感というものをちゃんと得ていけるかというあたりは、やはり金額の大きなものになってくるので、ポイントになるのではと思う」

またトップダウン型の難波市政のもとでは、今後も議会の役割が重要になるといいます。

静岡大学 井柳美紀教授:「市長選の時には多くの陣営が難波市長に乗ったということもあって、今、難波市長と対立する側がほとんど少ない形になっているので、議会の難波市長に対するチェック機能というものがどう果たされるかということ、言うべきことは言うという姿勢の中で、チェック機能を果たしていくことも重要なのではないかと思う」

前市長が予算の骨組みを作った今年度とは違い、新年度からは、難波市長自身が組んだ予算で市政が運営されていきます。数々の大型事業の行方は?そして、川勝知事との関係は? 2年目の舵取りに注目が集まります。

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