ペット連れ避難、続く模索 高根沢・同行訓練を実施 佐野・グッズ準備で啓発

ペットの「同行避難」を想定した訓練で、受付票に記入する飼い主たち=2月中旬、高根沢町西小

 能登半島地震は1日で発生から3カ月。被災地では「ペットがいるから」と周囲に遠慮して避難所行きをためらうケースがあるなど、災害時の避難とペットという課題が改めて浮き彫りになった。栃木県内市町でも対応に差はあるが、避難所でのペットの受け入れに向けて環境づくりが進む。

 能登半島地震で震度6強を観測した石川県穴水町。寒さが厳しい2月末、口真佐江(くちまさえ)さん(73)は避難所には行かず、11歳の愛犬ハニーちゃんと自宅の納屋で過ごしていた。

 自宅は全壊。「犬がいるので、ここで我慢するしかない」。日中は愛犬の世話をし、夜は近所の妹宅に身を寄せる生活を続けていた。いとおしそうにハニーちゃんを抱きかかえ、「仮設住宅に入れるまで辛抱する」と話した。

 県内では2月中旬、高根沢町が小学校の校庭にペット用のテントを設置し、ペットを連れた「同行避難」の訓練を行った。町の担当者は「災害時はしつけが行き届いていないペットも来ることが予想され、受け入れの課題はまだ多い」と話す。訓練に参加した飼い主からは、避難所でもペットと同じ空間で過ごせるよう求める声もあったという。

 2019年の台風19号で最大4千人余りが避難所に身を寄せた佐野市は現在、ホームページやチラシで、ペットフードやケージといったペットの避難用品を準備するよう呼びかけている。台風19号の際にケージやリードを持参しなかった避難者が、ペットと車中避難になるなどしたケースを教訓に情報発信を強化した。

 矢板市や那須町はペットと飼い主が一緒の空間に避難することも想定し、宿泊場所の確保などに向けて民間企業と協定を結んでいるが、こうした動きは一部にとどまる。自治体によって対応に差がある中、環境省は「親戚や友人宅など、避難所以外のペットの一時預け先も探しておくことが望ましい」と推奨している。

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