優雅に泳ぐペンギン描く 障害抱え創作続ける萩原さん 諫早で初の作品展 500時間かけた作品も

初めての作品展を開いた萩原さん=市立諫早図書館

 重い障害を抱えながら絵画制作に取り組む長崎県諫早市在住の画家、萩原慎哉さん(32)の初めての作品展が、同市東小路町の市立諫早図書館で開かれている。観覧無料。4月17日まで。
 さまざまな分野で活躍する同市の若者たちを紹介する同館の講座「諫早を楽しもう!」の一環。
 萩原さんは高校1年の時に頸椎(けいつい)を損傷し、首から下のほとんどを動かせず、車いす生活を送る。リハビリ中に興味を持ったデザインを学ぶため神戸芸術工科大に進学。現在は古里に戻り、絵を描いている。2022年には萩原さんの半生を紹介した本紙記事などを機に、ロックバンド「go!go!vanillas」のアルバムジャケットも手掛けた。
 同館1階開架ゾーンに、緻密に描き込んだ油彩画とシャープペン画計14点を展示。水族館で見た美しい光景に魅せられ、水中で泳ぐペンギンを主なモチーフとして描き続けている。

緻密に表現されたペンギンの絵などが並ぶ

 萩原さんは、試行錯誤を重ねて創作方法を見つけ出した。グローブや特殊な装具を手に巻き付けて絵筆を差し込み、点描のように色を少しずつ重ねる。納得するまで細かく描き込むのがこだわり。約半年、500時間かけて仕上げた作品もあるという。最大は60号。大きなキャンバスを選び、どこまで描けるか挑戦した。シャープペン画では、4Bまでと濃さが限られる中での限界にも挑んだ。
 萩原さんは「同じモチーフでも表現を変えて追求していくのが楽しい。優雅に泳ぐペンギンの絵を通して前向きな気持ちになってもらい、作品が誰かにとっての強さや希望につながれば」と来場を呼びかけた。

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