国連監視員と通訳が砲撃で負傷、レバノン南部

レバノン南部で平和維持活動を行っている国連レバノン暫定軍(UNFIL)は3月30日、監視員3人と通訳1人が爆発で負傷したと発表した。

レバノンの国営通信は、爆発はイスラエルのドローン(無人機)攻撃が原因と伝えた。一方、イスラエル軍は関与を否定している。

UNFILは、負傷者は治療を受けていると説明。爆発の原因を調査していると述べた。

イスラエルとレバノンの間にある非公式の境界地帯では、イスラエル軍とイスラム教シーア派組織ヒズボラの緊張が高まっている。

UNFILは声明で、国連が設定したレバノンとイスラエルの境界線「ブルーライン」付近を歩いてパトロールしていた職員らの近くで爆発が起きたと述べた。

また、平和維持の職員を標的にすることは「受け入れられない」とした。

AFP通信によると、負傷したのはノルウェー人、オーストラリア人、チリ人の監視員と、レバノン人の通訳だという。

レバノンの国営通信は、イスラエルの「敵対ドローン」が、職員らがパトロールしていたレバノン南部ルメイシュを攻撃したと伝えた。

イスラエル軍はこれを否定し、声明で「イスラエル国防軍は今朝、ルメイシュでUNFILの車両を攻撃していない」と述べた。

ここ数日、イスラエルとレバノンの非公式国境沿いで再び緊張が高まり、双方に死傷者が出ている。

UNFILのアンドレア・テネンティ報道官はBBC番組「ニューズアワー」に対し、レバノンの「ブルーラインからかなり離れたところ」で、標的を絞った致命的な砲撃が起きていると話し、これが「より広範な紛争を引き起こす可能性がある」と述べた。

イスラエルとヒズボラは、昨年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃を機に戦争が始まったのを皮切りに、ほぼ毎日、国境を越えて攻撃を交わしている。

ヒズボラはイランと密接なレバノンのイスラム教シーア派武装組織で、ハマスを支持している。

「不審な」パレスチナ人を殺害とイスラエル軍

こうしたなかでアメリカは、イスラエルが計画しているパレスチナ自治区ガザ地区南部ラファでの大規模な地上攻撃を「支持できない」と述べ、イスラエルに圧力をかけている。エジプトとの国境に近いラファには、100万人以上の避難民がいる。

ジョー・バイデン米大統領は、ガザにおける民間人の死者の増加や、国連が飢饉の危機に瀕していると指摘する同地区への人道的アクセスについて、懸念を表明している。

イスラエル国防軍は3月30日、ガザでの「2件の個別事件」でパレスチナ人男性2人を殺害し、その遺体をブルドーザーで埋めたことを認めた。

アルジャジーラは27日、この事件を撮影したとする編集された動画を公開した。BBCはこのビデオを独自に検証していない。

イスラエル軍は、2人が「不審なやり方で」軍に近づき、警告の銃声に反応しなかったと述べた。

また、2人は爆発物を持っているとの懸念から殺害され、ブルドーザーで埋められたと付け加えた。

(英語記事 UN observers wounded by shelling in southrn Lebanon

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