古くから続く酒蔵の跡取り息子と結婚した、筆者の知人Rちゃん。「跡取りを生んでこそ長男の嫁」とプレッシャーをかけられ、1人目2人目の女の子に次いでようやく男の子を出産しましたが、結果跡取りにはなれなかったといいます。
「跡取りを生んでこそ」
Rちゃんは、古くから続く酒蔵の跡取り息子と結婚しました。
嫁いですぐに子どもにも恵まれ、1人目、2人目と続いて女の子を出産しました。
しかし姑は、めでたいはずの孫の誕生も、また女の子かというがっかりした様子が隠し切れず、「次こそ男の子を」と言うためRちゃんはうんざりしていました。
子どもは2人でいいかなと思っていたRちゃんでしたが、姑や周りからは「跡取りを生んでこそ長男の嫁」とずっと言われ続けていました。
2人の娘の子育てに追われるRちゃんには、それがプレッシャーで、苦痛でしかありませんでした。
ようやく授かった長男
数年後、3人目の妊娠が発覚。
ですが、男の子を生むことを期待されている状況にうんざりしていたRちゃんは「男の子とか女の子とか跡取りとかもう古いんです」と一喝。
跡取りは別に男の子でなくても女の子でもできるし、そもそも子どもに跡を継ぐことを強要することにもRちゃんは反対でした。
それでも姑は、酒蔵の跡取りは......と言い続けました。
いざ出産した3人目の子どもは期待通りの男の子で、周囲は大喜び。
特に喜んだ姑は、末っ子の長男のことを特別に可愛がりました。
甘えん坊の長男
子どもたちが成長するにつれ、しっかり者で優秀な姉2人に対して、年の離れた末っ子長男は姑から散々甘やかされて育ったせいか、引っ込み思案で甘えん坊。
人の前に立つのも話すのも苦手で、どう考えても老舗の酒蔵を継ぐタイプではなく、興味もやりたいことも全く違っていました。
一方で、一番しっかり者の次女は経営学や日本酒にも興味を持ち、自ら大学もその道を選びました。
結果、次女が酒蔵を立派に継いで成長させ、今では海外にも日本酒を広めて以前よりも大きく事業を展開し大成功を収めています。
肩身の狭い姑
「跡取りを生んでこそ長男の嫁」と口癖のように言っていた姑は、ずっと肩身の狭い思いをしつつ、
大きく成長した酒蔵には大満足のようでした。
Rちゃんの言うように、今は男の子女の子に関係なく、やりたいことをする時代に変わってきています。跡取り息子なんていう考え方はもう古いのかもしれません。
それでも姑はまだ懲りず、今度は次女の結婚相手に酒蔵を継いでくれる男性を探しているそうです。
ただ、海外を飛び回って仕事が楽しい次女は、今は結婚する気が全くないようです。
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Kumi.M