“電気のF1”が東京を激走!日本初の公道レース「フォーミュラE東京E-prix」で2万人の観客が興奮

フォーミュラE「2024 東京E-Prix」

3月30日に日本で初めての公道レースとして、フォーミュラE「2024 東京E-Prix」が東京ビッグサイト周辺特設コースにて開催。初めての東京大会はマキシミリアン・ギュンター(マセラティ)が優勝、日本勢としてオリバー・ローランド(日産)が2位を獲得し、無事に初めての東京大会は幕を閉じた。

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◆見慣れた東京ビッグサイトの周りをフォーミュラEマシンが走る!

なんといっても今大会のトピックは、日本で始めて公道レースが開催されたことだろう。東京都が2022年の10月に誘致を決定して以来、約1年半の準備を経て開催にこぎつけた。今回は東京ビッグサイトの臨時駐車場、一部公道区間を含む特設コースとして設定された。

30日の決勝日の前に1回フリープラクティス(FP)のセッションが設けられたが、ウェットパッチの残る路面では本格的なアタックは難しい状況であった。残りは30日朝の2回目のFPで、そこからいきなり予選ということで選手たちも気の抜けない1日になったことだろう。予選では日産のオリバーがポールポジションを獲得し、観客も大いに盛り上がった。

◆初心者も楽しめる見どころ満載のレース、キーポイントはアタックモードとバッテリーのマネジメント

30日の15時頃にはじまったレースは33周の予定。セーフティーカー(SC)の導入がある場合は周回が延長されることがあるのも特徴で、実際に今大会は2周延長となった。レースの展開は序盤からポールのローランドがリーダーとなってレースを引っ張る展開。24周目にギュンターがトップに躍り出ると、見事にそのまま35周目までトップを守り優勝を果たした。

レースを盛り上げる2つの要素が、アタックモードとバッテリーマネジメントの難しさだ。アタックモードは各ドライバーのレース中に2度の使用が義務付けられている。使用時には通常300kwまでと定められている最大出力が、一定時間の間350kwまで使用可能になる。

アタックモードを使うには特定のコーナーでアウト側に設置された「アクティベーションゾーン」の通過で使用可能(8分の合計時間を2分・6分、4分・4分、6分・2分で選択)となる。このアタックモードをいつ・どれだけ使うのかが1つめの要素だ。

2つ目はバッテリーマネジメント。これはレース中に飛ばしすぎると、後半の電力が足りなくなりそうするとペースがあげられなくなってしまうからだ。今回のレースでも、優勝したギュンターがトップに立ちたいと無線を飛ばした際にステイアウトを指示されていた。それほどシビアに向き合わなければ、優勝することができないのだ。

◆ファンビレッジが楽しい!パブリックビューイングは音楽とレースの融合体験

2024 東京E-Prixは、ファンビレッジとして入場無料でのパブリックビューイングを開催。そこには多くの観客たちが集まっていた。中でも面白いのは、音楽とレースが同時に楽しめてしまうということ。一般的にモータースポーツはエンジンサウンドを楽しむものだが、フォーミュラEではさほどその要素は大きくない。

それを逆手に取り、メインステージで映像が流れるタイミングでは、DJが場面に合わせて音楽を流していた。これは他のモータースポーツではまず味わえることはなく、そこまで関心が高くない人にとってもファーストステップのハードルが下がるのは素晴らしいと感じた。

他にも場内にはキッズ向けの体験コーナー、ゲーミングエリア、充電スポットやフードトラックの出店など、誰しも楽しめる空間が用意されていた。

◆課題は同時開催「TOKYO ZEV ACTION」との連携?次回大会「2025 東京E-Prix」に期待

今回同時開催イベントとして「TOKYO ZEV ACTION」が開催されていた。しかしながら、フォーミュラEの会場が東棟周辺、TOKYO ZEV ACTIONの会場が西棟で開催されており、両会場の移動時間は10分程度かかるので、往来していた観客はファンビレッジを除いてそこまで多くはないと感じた。

せっかくのEVに注目が集まる機会であっただけに、同じ会場で開催をすることができていれば、両イベントのどちらも集客にはつながったのではないだろうか。

すでに次回大会「2025 東京E-Prix」の開催が2025年5月に予定されているが、都心のロケーションをフォーミュラEマシンが走ることに期待を膨らませてしまう。今回の成功をステップに、来年に向けてさらなる準備が進められていくことだろう。まずは楽しみに、次回大会の開催を待ちたいと思う。

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