「コストコボール」の実力どうなの!? ツアーボールと徹底比較 ~スピン編~

1球の値段差“400円弱” コストコvsツアーボール検証・第2弾

1球の値段差は約388円!この差がどう影響する!?(撮影/落合隆仁)

会員制倉庫型卸売店コストコで製造と販売を行う3ピースウレタンカバーボール「カークランドシグネチャー パフォーマンス+」税込価格2ダース4998円、1球208円の実力を探るシリーズ第2弾。第1弾の飛距離性能編に続き、1ダース7000円を超える高価格帯ツアーモデルと比較したスピン性能を検証する。値段の差がパフォーマンスにどれほど影響するのか!? 引き続きツアー3勝・日下部光隆プロに打ち比べてもらった。

弾道イメージがほぼ一緒!? 飛びすぎることなく程よい飛び

使用アイアンはキャロウェイ「X FORGED CB」

ドライバーの次に、7番アイアンでも同じ比較検証を行った。スピン量が増えるアイアンでも同様の結果となるのか。「ポイントはドライバー同様に、ボール初速、スピン量、打ち出し角です。スピンが増えるので、飛距離差はドライバーほど大きくはなりませんが、弾道のバラつきが結果に表れると思う」と注目点を語った。

7番アイアンでの結果(10球の平均値)

数字はドライバー同様、コストコボールのほうが若干打ち出し角が高く、最高到達点も高い分ランが出ずに総距離では6.1ydの差が開いた。だが、日下部プロは別の項目に驚いた様子で、「飛距離性能とは別の話にはなりますが、着地角度(Land Angle)を見てください。46.8と46.6度でほぼ同数字。落下イメージが全く同じなので、どんなに打ち出し角が高くても大きくオーバーしない。ケガが少ないことが分かります」

「これまでの安価なボールは単に前に飛んで、飛距離は稼ぐもののグリーンに止まってくれないということが多かったですが、『プロV1x』と似た弾道で、ほぼ同じ感覚の球筋を実現できていることに驚きました」と、その性能の高さに舌を巻いた。

キュキュッと止めたいときは分が悪い!? 注目すべきは打ち出し角

使用クラブは三浦技研「TW-01 ウェッジ」58度(撮影/落合隆仁)

ウェッジの検証では、15ydを目標としたアプローチショット10球での平均値を比較。数字ではアイアンでの結果と同様に、コストコボールのほうが若干打ち出し角が高く、最高到達点も高いことが分かった(コストコ2.1yd、プロV1x1.8yd)。一方でスピン量は4413と4629rpmで「プロV1x」のほうが多く出ている。15ydを目標にした場合にスピンを効かせてキュキュッと止めるケースだけを考えるなら、コストコボールはやや分が悪いのか!?

15ydアプローチでの結果(10球の平均値)

日下部プロは「トラックマンの数字上では大きな差のように見受けられますが、アマチュアゴルファーの皆さんがプレーで気になるほどの支障が出る違いとはいえません。そもそも微小なスピン量を気にしてプレーするのはプロか上級者、なかでも競技に常に出場しているトップレベル。エンジョイで回るゴルファーには、この程度の短い距離では距離感につながる要素はスピンよりも高さですから」と持論を展開する。

「ドライバーの場合は低スピンで高く上がれば、その分結果につながりましたが、アプローチでは高さが出すぎてしまうとスピン量に関係なく、思った距離より遠くへ飛びすぎてしまいます。『プロV1x』が28.7度に対し、コストコボールも29.8度とかなり高さは抑えられていることが分かりました。以前までの安価ボールでは30度以上、総距離も20yd以上は出てしまうイメージでしたが、今回の結果、目標より+2.1yd(総距離17.1yd)はかなり優秀といえます」

「バカにせず一度は試してみてもいいのでは」(日下部)(撮影/落合隆仁)

今回の検証で分かったことは、コストコボールと「プロV1x」の弾道イメージもスピン性能もほぼ類似していたこと。この結果に「ドライバー以上に衝撃を受けました」という日下部プロは、「現在、私は今回使用したコースボールと同じ銘柄を使用していますが、ここまで一致する結果は予想外でした。ドライバーでの結果は多少予想できましたが、スピン性能は大差が開くと思っていましたから…(笑)」

「『なんだか安くて性能は悪いんでしょ』『俺はプロと同じでいいや』と思っている人も一度試してみる価値はありそうです。あくまでも私見ですが、1ダース4500~5000円ほどの差のある安価ボールとは思えませんよ」

予想以上のパフォーマンスを発揮するのは「コストコボール」だけではない!? 次回はコスパのいい“イマドキ安価ボール”を検証。第3弾「ディスタンス系コスパボール検証」につづく。

取材協力:東名カントリークラブ

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