4月1日だから……“エイプリルフール”ソングあれこれ

4月1日は毎年さまざまな“ネタ”やジョークが飛び出すエイプリルフール(四月馬鹿の日)。日本では、江戸時代に中国から伝わった万愚節や大正時代に欧米から伝わったなど諸説ありますが、今もなお、公私問わず毎年の“恒例行事”として親しまれています。それほど話題性があるエイプリルフールですから、日本の音楽シーンにも影響を与えているはず……ということで、“エイプリルフール”をタイトルに冠している楽曲をいくつかご紹介。毎年恒例行事ですから、多くの楽曲があるのではないかと思いきや、タイトルに“エイプリルフール”を掲げているのは意外と多くありませんでした。

楽曲の前に、グループ名からしてストレートなバンドを紹介しておきましょう。その名もザ・エイプリルフールは小坂忠、細野晴臣、松本隆らによるサイケデリックロック・バンドで、グループサウンズ・バンドのザ・フローラルを前身として、1969年4月1日に結成。日本の先駆的な“ニューロック”バンドとしてシーンに名を刻みました。

さて、エイプリルフールをタイトルにした楽曲にいきましょう。そのままズバリなタイトルとしては、「好きよキャプテン」で知られる双子の姉妹のザ・リリーズが歌う「エイプリルフール」をはじめ、さだまさし「APRIL FOOL」、cinema staff「エイプリルフール」、冨田ラボ「エイプリルフール feat. 坂本真綾」、さよならポニーテール「えいぷりるふ~る」、南野陽子「エイプリル・フール」、山口紗弥加「April Fool」、DEAN FUJIOKA「April Fool」あたりでしょうか。南野陽子、山口紗弥加、DEAN FUJIOKAと俳優としても活躍している面々が多いのは、やはり嘘やジョークで騙せる“演技力”に長けているから……ということかもしれません(笑)。

“エイプリルフール=嘘”として4月1日に限らないラヴ・ソングもいくつかあります。J-POPの女王“ユーミン”こと松任谷由実にはアルバム『U-miz』(写真)にて「11月のエイプリルフール」を、シティ・ポップ・ブームの潮流から海外からも人気を博しているEPOは「12月のエイプリル・フール」という楽曲を発表しています。どちらもクリスマスが近づいてくる冬のシーズンを舞台にしており、タイトルだけを見ても切なさがこみ上げてきそうです。

一方、冬とは真逆の夏を舞台にしたのが、まなみのりさ「真夏のエイプリルフール」。通称“まみり”と呼ばれたまなみのりさは、まなみ、みのり、りさの3人組アイドル・グループで、アクターズスクール広島出身ということからperfumeの後輩・妹分として話題になりました。偶然なのか昨年のエイプリルフール、2023年4月1日に残念ながら解散してしまいましたが、その後はまなみとみのりは、アイドル・ユニットのunSea(アンシー)のメンバーとして活動しています。

アニメの世界でもエイプリルフールはトピックのようで、高橋留美子原作のアニメ『らんま1/2』の主人公・早乙女乱馬が「今夜はエイプリル・フール」という楽曲を歌っています。歌唱は乱馬役の山口勝平が務めています。また、愛知県岡崎市の非公式キャラクターの“オカザえもん”に触発された西中島きなこが結成した“オカザえもんフレンズ”にも「エイプリルフール」という楽曲があります。

また、息を吹きかけたり画面をタッチして遊べる“スカートめくり”アプリ「PUFF!」のモデルとして登場し、TikTokなどSNSにて“スカートふわりの人”“和製モンロー”として人気を博している女優の黒澤ゆりかは、2012年4月1日に「涙のエイプリルフール」で歌手デビュー。同曲は昭和の歌謡シーンで名を馳せてきた山上路夫が作詞を、鈴木淳が作曲を手掛けた、昭和歌謡となっています。

近年は企業やメディアの発したエイプリルフールネタの内容によってはフェイクニュースとして問題視され、ヨーロッパのメディアのなかには社会問題化を受けて恒例だったエイプリルフール記事を自粛するところも現れるなど、そのセンスやコンテンツ自体が問われたりもしていますが、できれば笑顔で終われる風習となってほしいものです。ひとまず、“エイプリルフール”ソングを聴いて、4月1日を楽しんでみてはいかがでしょうか。

© 株式会社シーディージャーナル