今週のテーマは「肉」だった 美味しいギャラプラの豆知識

「ヤマハレディースオープン葛城」のギャラプラは「肉」がキーワード(撮影/石井操)

◇国内女子◇ヤマハレディースオープン葛城◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡)◇6564yd(パー72)

芝に触れながら青空の下で食べる“ツアーメシ”。「今週は一体どんなメニューがあるんだろう」と、その土地ならではの特産物を楽しみにトーナメント会場に来ている方も少なくないはず。静岡県袋井市で行われた国内女子ツアー第5戦では、13店舗の飲食店が会場を香ばしい匂いで包んだ。

そもそも、ギャラリープラザ(通称ギャラプラ)にある飲食店の種類やメニューの価格帯は、どのように決められているかご存じだろうか?

大会担当者の安田直介さんはキッチンカーやテナント販売する事業社の懸け橋になるようなマッチングサイトを運営しており、同サイトには800台のキッチンカーと400以上のテナント事業社が登録されている。今回はその中から、大会前に主催者側と決めた「テーマ」に添った店舗を募ったという。飲食事業には30年ほど携わっており、今年はこの大会以外にも女子下部ステップアップツアーや男子ツアーの計6試合をカバーする予定だ。

ギャラプラを取り仕切る安田直介さん(撮影/石井操)

今季37試合ある国内女子ツアーでは、主催者それぞれの意向に合わせてギャラプラの作り方は異なる。今回の場合だと、安田さんが主催者にプレゼンを行い、ニーズが合致したところで担当が決定。店舗それぞれのおおよその価格帯も、その際に決まった。

音楽フェスの飲食ブースを担当してきた実績もあり、「『お客様がどうやったら喜ぶか』をテーマにやるのが得意。『来て良かった』、『こんなものあるんだ』みたいなものを作り上げたら」と安田さんは話す。「お客様はあくまで選手を見に来ているだろうけど、お腹が空いたとき、そこにまた楽しみができたらいい」

今大会は初めての担当ということもあり、「統計的に好まれがちな“お肉”」をテーマにした。「カレーだったり、肉まんや牛タン串…。全部が丼ものとかでも飽きるだろうし、そういうのをうまくセッティングしている」と、バラエティに富むような工夫を凝らした。

いろいろな肉料理の香りが会場を包んだ(撮影/石井操)

「地元の人が多かったりすると、むしろ土地の名産物じゃないのが良かったりする。とは言っても、北海道の下部ツアー(ECCレディス)ではお土産コーナーや物産展をやったり、百貨店に出すような業者さんにお願いしたら好感触だった。音楽フェスも音楽が主役だけど、“フェス飯”って確立されているし、もっと1つのアトラクションになり得る」。話題が広がっていけば、ゴルフに興味がなかった人を会場に呼ぶきっかけとなるかもしれない。

運営にあたって、レジには販売で生じた金銭のやり取りをまとめるシステムを完備した「POSレジ」が利用されており、「何時何分に、何の商品が、いくつ売れたのか、が全部出る。それが分かればこの地域はこういう特色があるのかな? とか、じゃあこういう風にしてみたら? と戦略が立てやすくなる。在庫管理もできる」。ギャラプラを「ご飯が食べられる場所」として作るのではなく、「現地に行きたいと思わせる要素」に変える。戦略ひとつ変えるだけで、試合それぞれの“色”はもっと出せると考えている。

イベント気分をさらに高める要素でもある(撮影/石井操)

茶葉の生産地として知られる静岡県では野菜も豊富ながら、蜜柑や苺などのフルーツも収穫できる。「もちろん、ご飯を食べる場所も必要だけど、苺だけを使ったフェアをやってみたいとかはある。クライアントが何を求めているかで変わるけど、ここで1500円、1600円払っても『めっちゃいいじゃん』というのを作っていかないといけない」。裏方として、大会を盛り上げようと神経を注ぐ“職人”がいた。(静岡県袋井市/石井操)

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