「刺股は万能ではない」警察官が強調、解説…実技で“負傷”や戸惑う職員も 幸手市役所、幸手署と対応訓練

刺股で犯人役の男に向き合う職員=28日、幸手市役所

 埼玉県幸手市は3月28日、市役所窓口で暴行や傷害事件などが起こることを想定し、幸手署と連携し防犯訓練を実施した。同署の警察官が刺股の使い方などを指導した。職員の防犯意識を高めようと初めて実施。窓口での説得や通報、利用者の避難誘導、刺股の使い方などを学んだ。

 刺股は公共施設で導入が広がる一方で、使い方が普及していない。同署警務課の小林憲司巡査部長は、犯人を抑止する動画が流れ刺股の有効性が広がりつつも、「刺股は万能ではない」と強調する。

 小林さんは、刺股はあくまで相手を制止させるために使ってほしいと説明。「(刺股は)長い、威圧できることが特長。逆につかまれると弱く効果を発揮できない、室内では使いづらい、相手を捕まえるのは難しい」など解説した。

 訓練では、職員が使い方に戸惑う場面も。刺股を短く持ち過ぎたために、犯人役の刃物が腕に当たった職員もいた。訓練に参加した男性職員は「刺股が長くても刃物が自分に届く恐怖があった」など感想を述べた。

 同署生活安全課の戸松博朗警部補は、「とにかく警察官が来るまで誰一人傷つかない状態で待ってほしい」と呼びかけた。

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