千枚田「再び元気に」 輪島・田起こし始まる 能登半島地震から3カ月

白米千枚田の田起こしに取り組む愛耕会メンバー=1日午前10時15分、輪島市白米町

  ●60枚耕作 

 能登半島地震で甚大な被害を受けた輪島市の国名勝「白米(しろよね)千枚田」で1日、米づくりに向けた農作業「田起こし」が始まった。棚田(たなだ)の大半にひびが入り、あぜが損壊したが、地元ボランティア団体「千枚田愛耕会(あいこうかい)」が被害の小さい田んぼ約60枚で耕作する。地震発生から3カ月。メンバーは「少しでも元気な田んぼに戻したい」と誓いながら汗を流した。

 千枚田は元日の地震で深い亀裂が生じたり、地盤が海側に滑り落ちたりした田んぼがあり、当初は今春の作付けは難しいとみられていた。しかし、愛耕会が現地を調べた結果、田んぼ約60枚は営農できる見通しが立った。

 1日は愛耕会の6人が千枚田で手押し式の小型耕運機で土を掘り起こすなどした。作業は2日に完了する予定で、例年通りに5月の田植え、9月の稲刈りを見込む。

 愛耕会の白尾友一代表(60)が「耕作や修復は簡単ではないと思っているが、みんなで協力して進めたい。来年は60枚以上の田んぼを元の姿に戻したい」と話した。

 田起こしは例年、オーナー会員が参加して100人以上で行うが、今年は地震を考慮して愛耕会メンバーだけで進める。メンバーも市外へ2次避難している人が多く、1日は3人が金沢市から駆け付けた。

 作業のたびに避難先の金沢から通うのは負担が大きいため、同会は千枚田の隣接地で休業中の道の駅千枚田ポケットパークを臨時の宿営所として活用する予定だ。5日まで、クラウドファンディングで宿営所整備のための寄付を募集しており、資金はベッドやシャワーの整備費などに充てる。

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