【ライブレポート】エイコン・ヒビノの眠るコンサート開催、オーディエンスは眠れたのか?

3月28日、ハクジュ・ホールにて「コンサートで眠ってください」という前代未聞の企画<エイコン・ヒビノ528Hz眠るコンサートpresented by HUGMOTTI>が開催された。

会場となったハクジュ・ホールは一部リクライニングシート席があるなど、リラックス効果の高い座席を備えており、その上で「睡眠」に特化した演奏会ということで、200名を越える「良質な睡眠」を求めるオーディエンスたちが集まっていた。ステージには、エイコン・ヒビノと交友の深い大藪龍二郎(やきもの作家・縄文実験考古学者)が制作した土器のオブジェが飾られており、開演前からすでに不思議な空間を創り出していた。

大きな拍手の中ステージに登場したエイコン・ヒビノは、2015年に日本レコード大賞の企画賞を受賞したアルバム『心と体を整える』に収録されたエイコン氏のオリジナル曲「ECHO」をプレイ、1曲目が終わり「528Hzの音楽を聴くと副交感神経が優位に働き、自律神経を整える効果があります。今日は日頃の疲れを癒していただいて、遠慮なく、ぐっすりとお休みください」と語った。そのまま同じくレコード大賞企画賞を受賞したアルバム『自律神経を整える音の処方箋』から「SOUVENIR」「MIZUTAMAHIME」、最新オリジナルアルバム『INORI』から「INORI」「レクイエム」などエイコン・ヒビノのオリジナル曲が次々と演奏された。

コンサートの中盤にさしかかり、いよいよ「眠ってください」の時間となるパーカッショニストとエイコン・ヒビノとの40分間にわたる即興演奏のコーナーがスタートした。コーナーが10分を越えた頃には、会場のあちこちから「カラン」「カタン」という音がする。どうやら手にした携帯電話を落としてしまったらしく、静かな寝息も聞こえてきた。まさにオーディエンスが求めていた「良質な睡眠」の瞬間だ。

しかしその一方で、ステージのスクリーンには今回映像の演出を担当したラファエル小関彰が創り出した太陽系の美しい惑星たちが、エイコン氏の演奏と絡み合いながら見事にライブを演出しており、その映像の素晴らしさに目を奪われた人たちにとって、眠ってしまうにはあまりにももったいない演出が繰り広げられていた。

終演後、「もったいなくて眠っていいものかどうか迷った」といった声が聞こえる一方で、「デジタルだらけの都会の人々にはピッタリの企画で、心身と脳のデトックスのようにすっきりすることができました」とのコメントもあり、眠った人も眠らなかった人も、みなそれぞれにスッキリした表情で会場を後にしたようだった。

<エイコン・ヒビノ528Hz眠るコンサートpresented by HUGMOTTI>

1.ECHO
2.SOUVENIR
3.MIZUTAMAHIME
4.INORI
5.レクイエム
6.睡眠タイム(40分間の即興演奏)
7.ニライカナイ
8.あわうみのうた
9.IN THE DREAM

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