【小林製薬 紅麹問題】謎多き「プベルル酸」とは?研究ない・毒性高い…専門家「究明には3カ月から6カ月」

これまで小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人に腎疾患などの症状が相次ぎ、5人が死亡。114人が入院した問題。

【写真】紅麹問題「プベルル酸」とは?

厚生労働省 健康・生活衛生局 三木 朗食品監視分析官:
小林製薬から次のような説明がなされたということで。健康被害のあった製品のロットに、予定していない物質のピークを認めたということで、理化学検査機器で分析を行ったところ、“プベルル酸”というものが同定されたと。

健康被害の原因になりうる「未知の成分」について、小林製薬が「プベルル酸」の可能性があると報告していたことが厚労省の会見で判明しました。

厚労省によると、「プベルル酸」は、一般的に青カビからつくられる天然化合物で、マラリアに効果があり、毒性が非常に高いといいます。

専門家にどのような物質なのか聞いてみると…。

法科学研究センター所長 雨宮正欣氏:
私もですね、実はこの事件で初めてプベルル酸っていう言葉聞いたんですね。実際のところですね、あまり研究がされていないというような物質ということになりますね。

研究が進んでおらず、専門家すら「初めて聞いた」といいます。

「プベルル酸」とは?サプリメント以外の危険性は?

食の安全の問題に詳しい東京大学の唐木英明氏は、「プベルル酸」という物質が小林製薬からではなく、厚生労働省から明かされたことに問題があると話します。

東京大学名誉教授 唐木英明氏:
この事件が始まって以来、不明な物質とはなんなのか日本中の人が不安に思っていた。プベルル酸だと分かったのに小林製薬は発表しなかった。それを隠していたということで、会社に対する不信を大きくした残念な会見だったと思います。

――問題になっているサプリメント以外の製品も気にする必要があるのでしょうか?
今のところプベルル酸が検出された製品というのは、明確になっていて、昨年のある時期に作ったあるロットのサプリだけであると。その他は検出されていないということが分かっています。ですから、(紅麹)色素については量が非常に微量であって、もし何かが入っていたとしても健康に被害を及ぼす物ではないし、検査してもそういった未知のものは出てこないということが分かっていますので、そこまで心配することではないだろうと思います。

――微量であっても体内に蓄積するなどはあり得ますか?
蓄積はしません。我々薬を1日3回飲むのは、8時間ごとに尿として排出されて減ってしまう、そのくらい化学物質を代謝する能力を持っていますから、蓄積をする心配はありませんし、そもそも色素として使うのはものすごく微量なので、毒性はないと考えていいと思います。
厚労省が回収命令を出している「これは危ない」と。出していない物は大丈夫、だから回収命令を出さない、今のところそういう線引きだと。

――企業の自主回収はそこまでナイーブにならなくていい?
自主回収は大変お気の毒で、今「紅麹」といったら消費者は買ってくれない。それから売っていたらクレームが来る。そうしたら回収した方が企業防衛のために良いだろうと、そういう気の毒な状態だと思います。

2017年に発表されている論文には、マウス5匹にプベルル酸を投与、4匹が3日以内に死んだことから“高い毒性”があることも発表されていますが、唐木氏によると、「プベルル酸」が“腎臓への毒性”があるかを調べるには、最低3カ月~6カ月が必要だといいます。

東京大学名誉教授 唐木英明氏:
まず、このプベルル酸というものを誰か持っているか?それを手に入れるのが最初。青カビに作らせるのか合成するのか、それで時間がずいぶんかかる。それから動物実験が少なくとも2~3カ月はかかります。そうすると、合わせて長い時間がかかると思います。

唐木氏は、プベルル酸が厚労省のいう「青カビが作る物質」であるならば、紅麹菌から作られることはあり得ないため、紅麹の発酵室は青カビが繁殖しやすい環境にあったのではないかと推測。
その上で、混入経路として考えられるものは以下の4つだと話します。

・紅麹の原料に付着
・従業員の体に付着
・発酵室内に空気(カビの胞子)が流入
・ネズミなどが持ち込む

――青カビだとしたら目視では分からなかったのでしょうか?
東京大学名誉教授 唐木英明氏:
それは謎ですね。大量はすれば赤と青ですから分かるだろうと思いますけども、でも実際は気がつかなかった。ということは、これは培養実験してみないと分かりません。

(『めざまし8』2024年4月1日放送より)

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