『オッペンハイマー』ノーランらが語るIMAX特別映像公開 興収は2024年洋画No.1の出だし

3月29日より全国公開中のクリストファー・ノーラン監督最新作『オッペンハイマー』のIMAX特別映像が公開された。

第96回アカデミー賞で作品賞を含む最多7部門を受賞した本作は、第二次世界大戦下、世界の運命を握った科学者J・ロバート・オッペンハイマーの栄光と没落の生涯を実話にもとに描いた伝記映画。2023年7月の全米公開を皮切りに、世界興収10億ドルに迫る世界的大ヒットを記録。実在の人物を描いた伝記映画としては歴代1位の記録を達成した。

3月29日より全国343館403スクリーンで公開された本作は、初日3日間で動員23万1015人、興収3億7927万620円(※3月25日の先行プレミア含む累計は動員23万1763人、興収3億8115万5360円)を記録。2024年公開の洋画第1位となるスタートを切り、ノーラン監督作品史上最高の数字となった。

公開されたIMAX特別映像は、国家的プロジェクト「マンハッタン計画」を率いたオッペンハイマー(キリアン・マーフィー)が「人々は恐れない、理解するまでは。世界は理解しない、それを使うまでは」と、独白する場面から始まる。そして、インタビュー映像に切り替わり、ノーラン監督が「オッペンハイマーの物語は壮大だ。本作を見た人々がそれを追体験し、より感情移入できるようIMAXで撮影した」と振り返る様子が捉えられている。続けて、撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマは「IMAXは雄大な景色を撮るのに適した規格だが、アップショットにも使ってみたかった。人の顔は風景のように入り組んでいて奥深い。どうしたらIMAXカメラで人物のアップを撮れるか考えた」と語り、オッペンハイマーの複雑な心中を表現するキリアン・マーフィーの撮影シーンが紹介されていく。

ノーラン監督による脚本をもとに、主人公オッペンハイマーの主観パートをカラーで撮影、ロバート・ダウニー・Jr.演じるルイス・ストローズを軸とした場面はモノクロで描かれている本作。製作総指揮のトーマス・ヘイスリップは、2つの視点で描く試みについて「クリス(クリストファー)は毎回限界に挑んでいる。この作品の鍵はカラーとモノクロの併用だ」とし、「マンハッタン計画」の最高責任者レズリー・グローヴス役のマット・デイモンが、常に完璧を求める「クリスは普通じゃ満足できない。IMAX®長編映画の先駆者であり、常に最先端を行く人だ」と、監督は映画界を牽引するイノベーターだと指摘する。さらに「白黒の65ミリ規格なんて存在しないから技術を駆使して作るしかない」と決めたホイテマは、IMAXカメラに適した本作専用のモノクロフィルムを開発したと振り返り、「巨大スクリーンに映したら魔法のような映像が広がった」とノーラン監督が続ける。

また、オッペンハイマーとの対立を深めていく米原子力委員会の委員長、海軍少将のルイス・ストローズを演じたダウニー・Jr.は「47年型のパッカードの後部座席に座ってIMAX(カメラ)をひざにのせ走行シーンを撮った。映画撮影の原点を思い出したよ。レンズが迫ってくると身が引き締まるんだ」と、狭い車内での撮影は俳優の原点に立ち返る体験だったと振り返っている。製作のエマ・トーマスは、ノーラン監督、スタッフ、キャストが力を合わせて完成した本作について「IMAX映画は初めてじゃない。でもこの作品は別格。大画面で見ると迫力と臨場感がすごい」と断言。オッペンハイマーのかつての恋人ジーン・タトロックを演じたフローレンス・ピューは、「人間味を感じられるし物語に引き込まれる」、妻キティ役のエミリー・ブラントが「神話のように重厚、劇場で見たら記憶に残る体験になる」と続け、マーフィーが「劇場で見る観客の没入感を最大限に高めるためにIMAXで撮影している」と語る。

映像のラストでは、「巨大スクリーンで見るとクオリティの高さがさらに際立つ」という撮影監督の言葉に続き、ノーラン監督の「15パーフォレーションの70ミリフィルムは最高画質だ。観客は物語に入り込める。巨大IMAXスクリーンで歴史的瞬間を体感してほしい」とメッセージを寄せている。

あわせて、本作の日本公開を記念したトークイベントが、4月6日13時の回上映後より丸ノ内ピカデリーDolby Cinemaにて開催されることが決定。本作の魅力を語るスペシャルゲストには、「ノーランの緻密な映画力学に圧倒される」と語る『日本のいちばん長い日』の原田眞人監督と、「間違いなくノーランの最高傑作だ」とコメントを寄せている『福田村事件』の森達也監督の参加が決定している。
(文=リアルサウンド編集部)

© 株式会社blueprint